まずは第1項を確認します。
▼会社法348条1項
取締役会設置会社でない会社であれば、取締役=業務執行者となります。
定款で別段の定めがあれば、別ですが、基本的に業務執行者です。
業務執行と業務執行の決定とは
LEGAL QUEST会社法には、業務執行とは会社の業務に関する事務を処理することとあります。
上場企業の公告から、具体的にどういった取締役が業務執行取締役になるか考えてみますと、社務全般や企画部を担当している取締役であったり、総務部長、財務部長、開発部の現場を統括している取締役は業務執行取締役にあたるようです。
業務執行の決定とは意思決定である「業務執行の決定」と記載があり、さらにその実行行為である「業務の執行」とを区別している。とあります。
私なりにかみ砕いて、一言でまとめますと、
業務執行=仕事をすること。
業務執行の決定=仕事の方向性などを決める意思決定
と、言えるのではないでしょうか。
会社法も業務執行と業務執行の決定は明確に区別しているので、意識して条文を読みたいところです。
続いて第2項を確認します。
▼会社法348条2項
2項は、業務執行の決定(意思決定)に関するものです。
取締役が2名の会社であれば、2名全員の合意、3名であれば2名以上の合意が必要です。
続いて第3項を確認します。
▼会社法348条3項
基本的にあらゆる業務執行の決定を他の取締役に委任することができますが、3項各号については、一人の取締役に任せてはダメという整理になります。
1号、2号は、支配人の選任・解任も支店の開設等も、会社にとって重要な決定にあたります。
3号は298条1項各号とありますが、株主総会の開催に関する事項です。
325条は、種類株主総会の開催に関する事項です。
4号に職務の執行とありますが、こちらは業務の執行より広いものとされ、監査行為や意思決定への関与も含まれます(LEGAL QUEST会社法)。
5号の、426条1項の規定による定款の定めに基づく423条1項の責任の免除とは、実際に責任の免除する場面のことです。
これらに関しては、取締役の過半数の決定が必要です。
続いて第4項を確認します。
▼会社法348条4項
大会社については、328条1項を確認してみてください。
大会社は内部統制システムを整備する義務があります。
平成18年33問目(会社法)
取締役会設置会社でない株式会社に関する次のアからけまでの記述のうち,正しいもののはどれか。なお,問題を解くにあたっては、各肢に明記されている場合を除き,定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答すること。
肢 | 問い | 正誤 |
ア | 当該株式会社の定款で定めた取締役の員数が1名であるときは,取締役は、仮処分命令により代表取締役の職務を代行する者が選任されない限り,代表取締役となる。 |
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イ | 当該株式会社においては,取締役の過半数の同意により一部の取締役について当該株式会社の業務を執行しないものとすることはできない。 |
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ウ | 仮処分命令により選任された代表取締役の職務を代行する者は,仮処分に別段の定めがある場合を除き,当該株式会社の代表取締役と同一の権利義務を有する。 |
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エ | 当該株式会社が取締役に対して訴えを提起する場合には,株主総会において当該株式会社を代表する者を定めなければならない。 |
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オ | 当該株式会社の取締役が自己のために当該株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは,株主総会においてその承認を受けなければならない。 |
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