会社法73条(創立総会の決議)を解説します。




会社法73条は創立総会の決議について規定している条文です。



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1.会社法73条の条文

第73条(創立総会の決議)
創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行う。
前項の規定にかかわらず、その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける定款の変更を行う場合(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合を除く。)には、当該定款の変更についての創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の半数以上であって、当該設立時株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。
定款を変更してその発行する全部の株式の内容として第百七条第一項第三号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとする場合(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合を除く。)には、設立時株主全員の同意を得なければならない。
創立総会は、第六十七条第一項第二号に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。ただし、定款の変更又は株式会社の設立の廃止については、この限りでない。



2.会社法73条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法73条1項

創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行う。

創立総会の普通決議は、設立後の普通決議より重くなっており、ちょうど特別決議と同じ内容になっています。

設立後の株主総会での普通決議(会社法309条1項)、特別決議(会社法309条2項)と比較もしておくと良いと思います。

設立後の株主総会に関しては、「定款に別段の定めがある場合を除き」がありますが、創立総会の方には無いので、定款で別段の定めによって、加重も軽減もできないのでご注意ください。




3.会社法73条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法73条2項

前項の規定にかかわらず、その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける定款の変更を行う場合(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合を除く。)には、当該定款の変更についての創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の半数以上であって、当該設立時株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。

譲渡制限が付いていない株式を発行する予定であったところ、計画変更で、譲渡制限をあらたに設ける場合、株式を自由に売買できなくなるので、株主にとっては大問題です。

当該変更は、創立総会の決議は特殊決議になります。

309条3項の特殊決議と同じですが、創立総会に関しては、定款で別段の定めで加重はできないのでご注意ください(軽減は設立後の株主総会の特殊決議もできません)。



4.会社法73条3項


続いて第3項を確認します。


▼会社法73条3項

定款を変更してその発行する全部の株式の内容として第百七条第一項第三号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとする場合(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合を除く。)には、設立時株主全員の同意を得なければならない。

会社法107条1項3号とは、取得条項付株式のことです。

取得条項付株式は、会社側から強制的に株主から株式を奪うことができる株式です。

とても強力な取り決めなので、設立時株主の全員の同意を得なければなりません。

ただし、設立時株主の全員の同意が必要なのは、新たに取得条項付株式を設ける場合内容を変更する場合です。

取得条項付株式を廃止する場合は、設立時株主にとってプラスなので、通常どおり創立総会の普通決議で足ります。



5.会社法73条4項


続いて第4項を確認します。


▼会社法73条4項

創立総会は、第六十七条第一項第二号に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。ただし、定款の変更又は株式会社の設立の廃止については、この限りでない。

会社法67条1項2号とは、創立総会の招集通知で知らせた「創立総会の目的である事項」のことです。

あらかじめ通知した事項以外の事項は決議できません。

ただし、定款の変更又は株式会社の設立の廃止については、招集通知で知らせていなくても決議することが可能です。




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