会社法43条(設立時役員等の解任の方法)を解説します。




会社法43条は設立時役員等の解任の方法について規定している条文です。







1.会社法43条の条文

第43条(設立時役員等の解任の方法)
設立時役員等の解任は、発起人の議決権の過半数(設立時監査等委員である設立時取締役又は設立時監査役を解任する場合にあっては、三分の二以上に当たる多数)をもって決定する。
前項の場合には、発起人は、出資の履行をした設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。
前項の規定にかかわらず、設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、取締役の全部又は一部の解任について議決権を行使することができないものと定められた種類の設立時発行株式を発行するときは、当該種類の設立時発行株式については、発起人は、当該取締役となる設立時取締役の解任についての議決権を行使することができない。
設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合における前項の規定の適用については、同項中「、取締役」とあるのは「、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役」と、「当該取締役」とあるのは「これらの取締役」とする。
第三項の規定は、設立時会計参与、設立時監査役及び設立時会計監査人の解任について準用する。



2.会社法43条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法43条1項

設立時役員等の解任は、発起人の議決権の過半数(設立時監査等委員である設立時取締役又は設立時監査役を解任する場合にあっては、三分の二以上に当たる多数)をもって決定する。

設立時役員等の解任は、発起人の議決権の過半数で決めます。

設立後の役員の解任は、特別な普通決議(会社法341条)にて決議しますので、若干、設立前後で違いますのでご注意ください。

設立後は定款に別段の定めをすることで、出席要件を減軽、決議要件を加重することが出来ますが、設立前に関してはこのような特則はありません。



3.会社法43条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法43条2項

前項の場合には、発起人は、出資の履行をした設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。

会社法40条2項も同じですので、確認してみてください。



4.会社法43条3項


続いて第3項を確認します。


▼会社法43条3項

前項の規定にかかわらず、設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、取締役の全部又は一部の解任について議決権を行使することができないものと定められた種類の設立時発行株式を発行するときは、当該種類の設立時発行株式については、発起人は、当該取締役となる設立時取締役の解任についての議決権を行使することができない。

設立後に会社法108条1項3号の議決権制限株式があり、その内容が取締役の全部又は一部の解任については議決権がない、という株式の場合、設立前においても当該解任決議に関しては議決権は無い、という取扱いです。




5.会社法43条4項


続いて第4項を確認します。


▼会社法43条4項

設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合における前項の規定の適用については、同項中「、取締役」とあるのは「、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役」と、「当該取締役」とあるのは「これらの取締役」とする。

監査等委員設置会社については、監査等委員でもある取締役とそうでない取締役の2種類ありますので、それに合わせて読み替えを行うという規定です。




6.会社法43条5項


続いて第5項を確認します。


▼会社法43条5項

第三項の規定は、設立時会計参与、設立時監査役及び設立時会計監査人の解任について準用する。

議決権制限株式の内容として、会計参与、監査役及び会計監査人の解任について、議決権の制限を設けている場合は、設立時会計参与、設立時監査役及び設立時会計監査人についても、解任することができません。




7.司法書士試験の過去問に挑戦


平成25年27問目(会社法)

問い 正誤
発起設立の場合には,発起人は、会社の成立の時までの間、その議決権の3分の2以上に当たる多数をもって,その選任した設立時監査役を解任することができる。
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