会社法40条(設立時役員等の選任の方法)を解説します。




会社法40条は設立時役員等の選任の方法について規定している条文です。







1.会社法40条の条文

第40条(設立時役員等の選任の方法)
設立時役員等の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。
前項の場合には、発起人は、出資の履行をした設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。
前項の規定にかかわらず、設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、取締役の全部又は一部の選任について議決権を行使することができないものと定められた種類の設立時発行株式を発行するときは、当該種類の設立時発行株式については、発起人は、当該取締役となる設立時取締役の選任についての議決権を行使することができない。
設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合における前項の規定の適用については、同項中「、取締役」とあるのは「、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役」と、「当該取締役」とあるのは「これらの取締役」とする。
第三項の規定は、設立時会計参与、設立時監査役及び設立時会計監査人の選任について準用する。



2.会社法40条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法40条1項

設立時役員等の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。

設立時役員等の定義付けは会社法39条4項で定義されていますので確認してみてください。

通常の役員等は株主総会にて選任決議を行いますが、株式会社設立前は、株主総会自体ありません。

そのため、発起人が引き受けた株数の議決権の過半数をもって決定します。



3.会社法40条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法40条2項

前項の場合には、発起人は、出資の履行をした設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。

単元株を設けていない場合、1株につき1議決権ですが、単元株を設けているならば、会社設立前も単元株単位で議決権があることになります。

単元株が仮に10株の場合、10株で1議決権となります。9株しか持っていない発起人は議決権がないことになります。

詳細な解説は会社法188条1項で行っていますので、確認してみてください。



4.会社法40条3項


続いて第3項を確認します。


▼会社法40条3項

前項の規定にかかわらず、設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、取締役の全部又は一部の選任について議決権を行使することができないものと定められた種類の設立時発行株式を発行するときは、当該種類の設立時発行株式については、発起人は、当該取締役となる設立時取締役の選任についての議決権を行使することができない。

種類株式の内容として、議決権制限株式を発行する会社もあります。

例えば、普通株式とA種種類株式を発行する場合で、A種種類株式には取締役選任権が無い場合、設立前においても、A種種類株式には取締役選任権はありません。

議決権制限株式は、会社法108条1項3号を確認してみてください。





5.会社法40条4項


続いて第4項を確認します。


▼会社法40条4項

設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合における前項の規定の適用については、同項中「、取締役」とあるのは「、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役」と、「当該取締役」とあるのは「これらの取締役」とする。

監査等委員会設置会社を設立する場合で、役員等の議決権制限株式がある場合は、3項を準用します。





6.会社法40条5項


続いて第5項を確認します。


▼会社法40条5項

第三項の規定は、設立時会計参与、設立時監査役及び設立時会計監査人の選任について準用する。

注意したいのは、種類株式の内容として役員等の議決権制限株式がある場合で、会社法108条1項9号の取締役・監査役選任権付株式ではないということです。

サラっと条文を確認すると、議決権制限株式の話しなのか、取締役・監査役選任権付株式の話しなのか区別がつきにくと思いますので、ご注意ください。



7.司法書士試験の過去問に挑戦


平成22年27問目(会社法)

問い 正誤
設立時取締役は,発起設立の場合には、発起人の全員の同意によって選任されるが,募集設立の場合には,創立総会の決議によって選任される。
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