会社法44条(設立時取締役等の解任の方法の特則)を解説します。




会社法44条は設立時取締役等の解任の方法の特則について規定している条文です。







1.会社法44条の条文

第44条(設立時取締役等の解任の方法の特則)
前条第一項の規定にかかわらず、第四十一条第一項の規定により選任された設立時取締役(設立時監査等委員である設立時取締役を除く。次項及び第四項において同じ。)の解任は、その選任に係る発起人の議決権の過半数をもって決定する。
前項の規定にかかわらず、第四十一条第一項の規定により又は種類創立総会(第八十四条に規定する種類創立総会をいう。)若しくは種類株主総会において選任された取締役(監査等委員である取締役を除く。第四項において同じ。)を株主総会の決議によって解任することができる旨の定款の定めがある場合には、第四十一条第一項の規定により選任された設立時取締役の解任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。
前二項の場合には、発起人は、出資の履行をした種類の設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の種類の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。
前項の規定にかかわらず、第二項の規定により設立時取締役を解任する場合において、取締役の全部又は一部の解任について議決権を行使することができないものと定められた種類の設立時発行株式を発行するときは、当該種類の設立時発行株式については、発起人は、当該取締役となる設立時取締役の解任についての議決権を行使することができない。
前各項の規定は、第四十一条第一項の規定により選任された設立時監査等委員である設立時取締役及び同条第三項において準用する同条第一項の規定により選任された設立時監査役の解任について準用する。この場合において、第一項及び第二項中「過半数」とあるのは、「三分の二以上に当たる多数」と読み替えるものとする。



2.会社法44条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法44条1項

前条第一項の規定にかかわらず、第四十一条第一項の規定により選任された設立時取締役(設立時監査等委員である設立時取締役を除く。次項及び第四項において同じ。)の解任は、その選任に係る発起人の議決権の過半数をもって決定する。

設立時取締役の解任は、原則、発起人の議決権の過半数で決定しますが(会社法43条1項)、取締役選任権付株式があり、その種類の株式を保有する発起人の過半数の決定で選任された設立時取締役(会社法41条1項)の解任は、発起人の過半数の決定ではなく、その種類の株式を割り当てられた発起人の過半数の決定をもって解任しなければなりません。

選任の入口が、取締役選任権付株式を保有している発起人なので、解任も同じく取締役選任権付株式を保有している発起人で決定すべき、ということです。



3.会社法44条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法44条2項

前項の規定にかかわらず、第四十一条第一項の規定により又は種類創立総会(第八十四条に規定する種類創立総会をいう。)若しくは種類株主総会において選任された取締役(監査等委員である取締役を除く。第四項において同じ。)を株主総会の決議によって解任することができる旨の定款の定めがある場合には、第四十一条第一項の規定により選任された設立時取締役の解任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。

取締役選任権付株式があり、その種類の株式を保有する発起人の過半数の決定で選任された設立時取締役であっても、定款に全体の株主総会で解任できる、という定めがあれば、その種類の株式を保有する発起人の過半数の決定でなくとも全体の株主総会で解任できる、という規定です。

選任の入口と出口を合わせる、という1項の例外になります。



4.会社法44条3項


続いて第3項を確認します。


▼会社法44条3項

前二項の場合には、発起人は、出資の履行をした種類の設立時発行株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の種類の設立時発行株式につき一個の議決権を有する。

単元株の考え方は、会社法188条1項で解説していますので、確認してみてください。




5.会社法44条4項


続いて第4項を確認します。


▼会社法44条4項

前項の規定にかかわらず、第二項の規定により設立時取締役を解任する場合において、取締役の全部又は一部の解任について議決権を行使することができないものと定められた種類の設立時発行株式を発行するときは、当該種類の設立時発行株式については、発起人は、当該取締役となる設立時取締役の解任についての議決権を行使することができない。

会社法108条1項3号の議決権制限株式がある場合で、その株式に取締役の解任について制限が掛かっている場合、2項の定款に別段の定めがあったとしても、解任決議に参加することができません。




6.会社法44条5項


続いて第5項を確認します。


▼会社法44条5項

前各項の規定は、第四十一条第一項の規定により選任された設立時監査等委員である設立時取締役及び同条第三項において準用する同条第一項の規定により選任された設立時監査役の解任について準用する。この場合において、第一項及び第二項中「過半数」とあるのは、「三分の二以上に当たる多数」と読み替えるものとする。

1~4項は、設立時取締役についての話しでしたが、設立時監査役にも適用されます。

ただし、過半数の決定でなく、2/3以上の多数と加重されます。

この辺りは、設立後の監査役の解任と同じです(会社法309条2項7号)。







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