会社法59条(設立時募集株式の申込み)を解説します。




会社法59条は設立時募集株式の申込みについて規定している条文です。



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1.会社法59条の条文

第59条(設立時募集株式の申込み)
発起人は、第五十七条第一項の募集に応じて設立時募集株式の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
定款の認証の年月日及びその認証をした公証人の氏名
第二十七条各号、第二十八条各号、第三十二条第一項各号及び前条第一項各号に掲げる事項
発起人が出資した財産の価額
第六十三条第一項の規定による払込みの取扱いの場所
前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
発起人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、第三十六条第一項に規定する期日後でなければ、前項の規定による通知をすることができない。
第五十七条第一項の募集に応じて設立時募集株式の引受けの申込みをする者は、次に掲げる事項を記載した書面を発起人に交付しなければならない。
申込みをする者の氏名又は名称及び住所
引き受けようとする設立時募集株式の数
前項の申込みをする者は、同項の書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、発起人の承諾を得て、同項の書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該申込みをした者は、同項の書面を交付したものとみなす。
発起人は、第一項各号に掲げる事項について変更があったときは、直ちに、その旨及び当該変更があった事項を第三項の申込みをした者(以下この款において「申込者」という。)に通知しなければならない。
発起人が申込者に対してする通知又は催告は、第三項第一号の住所(当該申込者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を発起人に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。



2.会社法59条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法59条1項

発起人は、第五十七条第一項の募集に応じて設立時募集株式の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
定款の認証の年月日及びその認証をした公証人の氏名
第二十七条各号、第二十八条各号、第三十二条第一項各号及び前条第一項各号に掲げる事項
発起人が出資した財産の価額
第六十三条第一項の規定による払込みの取扱いの場所
前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

会社法57条1項は、募集設立のことです。

既に募集株式を引き受けたいという者には1~5号の内容を通知する必要があります。

5号の法務省令は会社法施行規則8条になります。


会社法施行規則8条(申込みをしようとする者に対して通知すべき事項)
法第五十九条第一項第五号に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
発起人が法第三十二条第一項第一号の規定により割当てを受けた設立時発行株式(出資の履行をしたものに限る。)及び引き受けた設立時募集株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、種類及び種類ごとの数)
法第三十二条第二項の規定による決定の内容
株主名簿管理人を置く旨の定款の定めがあるときは、その氏名又は名称及び住所並びに営業所
定款に定められた事項(法第五十九条第一項第一号から第四号まで及び前号に掲げる事項を除く。)であって、発起人に対して設立時募集株式の引受けの申込みをしようとする者が当該者に対して通知することを請求した事項



3.会社法59条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法59条2項

発起人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、第三十六条第一項に規定する期日後でなければ、前項の規定による通知をすることができない。

会社法36条1項は、出資の履行をしていない発起人がいる場合、定めた期日後でないと、1項の引受けの申込みをしようとする者に対して通知できません。

まずは発起人が出資の履行をしてから、ということですね。注意点としては、発起人の出資の履行が完了した後ではないということです。



4.会社法59条3項


続いて第3項を確認します。


▼会社法59条3項

第五十七条第一項の募集に応じて設立時募集株式の引受けの申込みをする者は、次に掲げる事項を記載した書面を発起人に交付しなければならない。
申込みをする者の氏名又は名称及び住所
引き受けようとする設立時募集株式の数

3項は、設立時募集株式の引受けの申込みをする者から発起人へ対して交付する書面についての規定です。会社法57条1項の募集により、株式を引き受ける者は、自分の氏名(法人等であれば名称)と住所、引受株数を知らせなければなりません。



5.会社法59条4項


続いて第4項を確認します。


▼会社法59条4項

前項の申込みをする者は、同項の書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、発起人の承諾を得て、同項の書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該申込みをした者は、同項の書面を交付したものとみなす。

3項の発起人へ対する書面は、電磁的方法でも可能と定めています。



6.会社法59条5項


続いて第5項を確認します。


▼会社法59条5項

発起人は、第一項各号に掲げる事項について変更があったときは、直ちに、その旨及び当該変更があった事項を第三項の申込みをした者(以下この款において「申込者」という。)に通知しなければならない。

1項各号について、変更があった場合は、直ちに申込者へ通知する必要があります。

例えば、払込先の銀行口座が変更となった場合などが上げられるのではないでしょうか。



7.会社法59条6項


続いて第6項を確認します。


▼会社法59条6項

発起人が申込者に対してする通知又は催告は、第三項第一号の住所(当該申込者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を発起人に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。

小規模の募集設立であれば、発起人以外の出資者も良く知っている人であるので、通知が届かない(連絡がつかない)ということはないでしょうが、大規模な募集設立であれば、申込者の管理も大変になります。(そもそも大規模な募集設立などあるのかというのは置いておいて・・・)

そのため、申込者が届出ている住所等にすれば有効な通知としました。



8.会社法59条7項


続いて第7項を確認します。


▼会社法59条7項

前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。

申込者に知らせてもらった通知先に通知・催告をすれば有効な通知・催告となります。




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