会社法36条(設立時発行株式の株主となる権利の喪失)を解説します。




会社法36条は設立時発行株式の株主となる権利の喪失について規定している条文です。







1.会社法36条の条文

第36条(設立時発行株式の株主となる権利の喪失)
発起人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、当該出資の履行をしていない発起人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知しなければならない。
前項の規定による通知は、同項に規定する期日の二週間前までにしなければならない。
第一項の規定による通知を受けた発起人は、同項に規定する期日までに出資の履行をしないときは、当該出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利を失う。



2.会社法36条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法36条1項

発起人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、当該出資の履行をしていない発起人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知しなければならない。

募集株式の発行の場合、出資の履行をしていない株主は失権(会社法208条5項)となりますが、株式会社設立時には、出資の履行をしていない発起人がいれば、一旦通知しなければなりません。



3.会社法36条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法36条2項

前項の規定による通知は、同項に規定する期日の二週間前までにしなければならない。

1項により、出資の履行をしていない発起人へ通知しなければなりませんが、この期間は規定した期日の2週間以上前に通知しなければなりません。



4.会社法36条3項


続いて第3項を確認します。


▼会社法36条3項

第一項の規定による通知を受けた発起人は、同項に規定する期日までに出資の履行をしないときは、当該出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利を失う。

履行をしていなかった発起人が通知を受け、さらに期日までに出資の履行をしない場合は、設立時株主にはなれず、その権利を失います。



5.司法書士試験の過去問に挑戦


平成14年28問目(会社法)

問い 正誤
発起人は、設立時発行株式であって会社の成立後なお引受けのないものがあるときは、他の発起人及び会社成立当時の取締役とともに,その株式を引き受けたものとみなされる。
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平成26年27問目(会社法)

問い 正誤
複数の発起人のうち、設立時発行株式を1株も引き受けない発起人がいる場合であっても、他の発起人が全ての設立時発行株式を引き受けるときは,設立の無効原因とはならない。
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