会社法243条(募集新株予約権の割当て)を解説します。




会社法243条は募集新株予約権の割当てについて規定している条文です。







1.会社法243条の条文

第243条(募集新株予約権の割当て)
株式会社は、申込者の中から募集新株予約権の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割り当てる募集新株予約権の数を定めなければならない。この場合において、株式会社は、当該申込者に割り当てる募集新株予約権の数を、前条第二項第二号の数よりも減少することができる。
次に掲げる場合には、前項の規定による決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
募集新株予約権の目的である株式の全部又は一部が譲渡制限株式である場合
募集新株予約権が譲渡制限新株予約権(新株予約権であって、譲渡による当該新株予約権の取得について株式会社の承認を要する旨の定めがあるものをいう。以下この章において同じ。)である場合
株式会社は、割当日の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる募集新株予約権の数(当該募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合にあっては、当該新株予約権付社債についての社債の種類及び各社債の金額の合計額を含む。)を通知しなければならない。
第二百四十一条の規定により株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与えた場合において、株主が同条第一項第二号の期日までに前条第二項の申込みをしないときは、当該株主は、募集新株予約権の割当てを受ける権利を失う。



2.会社法243条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法243条1項

株式会社は、申込者の中から募集新株予約権の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割り当てる募集新株予約権の数を定めなければならない。この場合において、株式会社は、当該申込者に割り当てる募集新株予約権の数を、前条第二項第二号の数よりも減少することができる。

242条2項2号の数とは、新株予約権を引き受けようとする者から、申し込みがあった数のことです。

会社は、この申込者の中から、自分の好きなように新株予約権を割当てる者を選択でき、申込された株式数よりも少ない数の新株予約権を割当てることも可能です。



3.会社法243条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法243条2項

次に掲げる場合には、前項の規定による決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
募集新株予約権の目的である株式の全部又は一部が譲渡制限株式である場合
募集新株予約権が譲渡制限新株予約権(新株予約権であって、譲渡による当該新株予約権の取得について株式会社の承認を要する旨の定めがあるものをいう。以下この章において同じ。)である場合

例えば、以下の会社で、




株式会社X
・普通株式 1,000株(※譲渡制限株式)
・A種優先株式 100株


普通株式を目的とする新株予約権を発行する場合、1号にあたります。

A種優先株式を目的とする新株予約権を発行する場合、1号にはあたりませんが、この新株予約権自体に譲渡制限が付される場合(236条1項6号)は2号にあたります。

募集新株予約権の割当の決定は、


取締役会設置会社でない会社 → 株主総会の決議

取締役会設置会社      → 取締役会の決議


となります。

定款で別段の定めをすることが可能ですので、割当決定については代表取締役の決定とする、といった定めも可能です。

この割当決定は、新株予約権自体を発行することの決定とこんがらがることがあるので、注意しましょう。募集新株予約権の発行(238条2項)は、公開会社を除き、常に株主総会の決議です。



ちなみに、上記の1号にも2号にも当たらない場合、つまり、新株予約権の目的となる株式に譲渡制限が付されておらず、かつ新株予約権自体にも譲渡制限が付されていないものの割り当ての決定については、原則、代表取締役の決定で割り当てることが可能です。

ただし、割り当て自体が重要な業務執行の決定と評価される場合は、この限りではありません。

こちらは会社法コンメンタール6より引用しています。




4.会社法243条3項


続いて第3項を確認します。


▼会社法243条3項

株式会社は、割当日の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる募集新株予約権の数(当該募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合にあっては、当該新株予約権付社債についての社債の種類及び各社債の金額の合計額を含む。)を通知しなければならない。

誰に何個の新株予約権を割当てるか決定したのち、割当日の前日までに申込者に通知する必要があります。



5.会社法243条4項


続いて第4項を確認します。


▼会社法243条4項

第二百四十一条の規定により株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与えた場合において、株主が同条第一項第二号の期日までに前条第二項の申込みをしないときは、当該株主は、募集新株予約権の割当てを受ける権利を失う。

241条は株主割当て方式に関する条文です。

会社から株主割当て方式で、割当通知を受けた場合、引受けの申込みの期日までに申込みをしない場合、募集新株予約権の割当てを受ける権利を失います。

申込期日を無視したのだから、当然の規定です。




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