会社法241条(株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与える場合)を解説します。




会社法241条は株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与える場合について規定している条文です。







1.会社法241条の条文

第241条(株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与える場合)
株式会社は、第二百三十八条第一項の募集において、株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与えることができる。この場合においては、募集事項のほか、次に掲げる事項を定めなければならない。
株主に対し、次条第二項の申込みをすることにより当該株式会社の募集新株予約権(種類株式発行会社にあっては、その目的である株式の種類が当該株主の有する種類の株式と同一の種類のもの)の割当てを受ける権利を与える旨
前号の募集新株予約権の引受けの申込みの期日
前項の場合には、同項第一号の株主(当該株式会社を除く。)は、その有する株式の数に応じて募集新株予約権の割当てを受ける権利を有する。ただし、当該株主が割当てを受ける募集新株予約権の数に一に満たない端数があるときは、これを切り捨てるものとする。
第一項各号に掲げる事項を定める場合には、募集事項及び同項各号に掲げる事項は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める方法によって定めなければならない。
当該募集事項及び第一項各号に掲げる事項を取締役の決定によって定めることができる旨の定款の定めがある場合(株式会社が取締役会設置会社である場合を除く。) 取締役の決定
当該募集事項及び第一項各号に掲げる事項を取締役会の決議によって定めることができる旨の定款の定めがある場合(次号に掲げる場合を除く。) 取締役会の決議
株式会社が公開会社である場合 取締役会の決議
前三号に掲げる場合以外の場合 株主総会の決議
株式会社は、第一項各号に掲げる事項を定めた場合には、同項第二号の期日の二週間前までに、同項第一号の株主(当該株式会社を除く。)に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
募集事項
当該株主が割当てを受ける募集新株予約権の内容及び数
第一項第二号の期日
第二百三十八条第二項から第四項まで及び前二条の規定は、第一項から第三項までの規定により株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与える場合には、適用しない。



2.会社法241条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法241条1項

株式会社は、第二百三十八条第一項の募集において、株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与えることができる。この場合においては、募集事項のほか、次に掲げる事項を定めなければならない。
株主に対し、次条第二項の申込みをすることにより当該株式会社の募集新株予約権(種類株式発行会社にあっては、その目的である株式の種類が当該株主の有する種類の株式と同一の種類のもの)の割当てを受ける権利を与える旨
前号の募集新株予約権の引受けの申込みの期日

241条1項は株主割当方式です。

株主割当方式については、202条1項で説明しています。

株主割当方式とは、既存株主に持株比率に応じて、均等に新株予約権となる権利を割当てることをいいます。

株式の株主割当方式と同じく、種類株式発行会社であれば、ある株主には、同じ種類の株式を目的とする新株予約権しか割当てられません。

つまり、普通株主には、普通株式を目的とする新株予約権しか割り当てることができません。

募集事項については、238条1項で定義されていますので、確認してみてください。



3.会社法241条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法241条2項

前項の場合には、同項第一号の株主(当該株式会社を除く。)は、その有する株式の数に応じて募集新株予約権の割当てを受ける権利を有する。ただし、当該株主が割当てを受ける募集新株予約権の数に一に満たない端数があるときは、これを切り捨てるものとする。

株主割当方式で新株予約権者となる場合、1株未満の端数分については、自動的に切捨て処理がされます。

こちらも考え方としては、株式の株主割当方式と同じですので、202条2項を確認してみてください。



4.会社法241条3項


続いて第3項を確認します。


▼会社法241条3項

第一項各号に掲げる事項を定める場合には、募集事項及び同項各号に掲げる事項は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める方法によって定めなければならない。
当該募集事項及び第一項各号に掲げる事項を取締役の決定によって定めることができる旨の定款の定めがある場合(株式会社が取締役会設置会社である場合を除く。) 取締役の決定
当該募集事項及び第一項各号に掲げる事項を取締役会の決議によって定めることができる旨の定款の定めがある場合(次号に掲げる場合を除く。) 取締役会の決議
株式会社が公開会社である場合 取締役会の決議
前三号に掲げる場合以外の場合 株主総会の決議

3項は「各号」というフレーズが沢山出てくるので、一見よく分からない条文です。

238条の振り返りになりますが、第三者割当てでの募集新株予約権の発行は、非公開会社では株主総会の特別決議、公開会社では240条の特則により取締役会決議で、募集事項の決定をすることが出来ると規定されていました。



株主割当方式で募集新株予約権の発行をする場合も、流れは同じです。

つまり、非公開会社では株主総会決議(241条3項4号)、公開会社では取締役会決議(241条3項3号)となります。

1号、2号にあるように、株主割当方式は定款で別段の定めをすれば、非公開会社であっても、取締役の決定(または取締役会の決議)で募集事項の決定をすることが出来ます。

これは、新たなメンバーが株主となりうる新株予約権者として入ってくるわけではなく、既存株主にのみ株式が割当てられるので影響は少ないため、このような取扱いになっているものと思われます。

また、募集事項については、238条1項で定義化されているので、もう一度確認することをお勧めします。



5.会社法241条4項


続いて第4項を確認します。


▼会社法241条4項

株式会社は、第一項各号に掲げる事項を定めた場合には、同項第二号の期日の二週間前までに、同項第一号の株主(当該株式会社を除く。)に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
募集事項
当該株主が割当てを受ける募集新株予約権の内容及び数
第一項第二号の期日

株主割当方式での募集新株予約権の発行を決めたら、通知により株主に知らせる必要があります。

通知は1項2号の募集新株予約権の引受けの申込みの期日の2週間までに通知しなければなりません。



6.会社法241条5項


続いて第5項を確認します。


▼会社法241条5項

第二百三十八条第二項から第四項まで及び前二条の規定は、第一項から第三項までの規定により株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与える場合には、適用しない。

要は、第三者割当方式と被る規定については、株主割当方式では適用しないと定めています。




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