まずは第1項を確認します。
▼会社法202条1項
202条は株主割当方式に関する条文です。
1項中の募集事項は、199条2項で定義されているので確認してみてください。
株主に株式の割当てを受ける権利というのは、既存株主の保有株数に比例して株式を割当てることです。
以下の会社を例にします。
会社が株主割当方式で、普通株式を新たに100株発行しようとします。
株主のAさん、Bさん、Cさんにはそれぞれ以下の様に、持ち株比率に応じて、株式が割当てられます。
Aさん(500株保有)→ 50株
Bさん(300株保有)→ 30株
Cさん(200株保有)→ 20株
このように、持株比率に応じて均等に株式が割り当てられるのが株主割当てです。
202条1項1号では、株主の有する種類の株式と同一の種類のものとあるので、普通株主であるAさん、Bさん、Cさんには、A種優先株式を株主割当方式では割当てることは出来ませんので注意しましょう。
当然、株主割当方式でない募集株式の発行であれば、株式を割当てることは可能です。
202条1項2号ですが、引受けの申込み期日も定める必要があります。
株主割当方式での募集株式を引き受けたければ、その期日までに申し込む必要があります。
199条1項4号の募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間の期日とは別なので、注意してください。
続いて第2項を確認します。
▼会社法202条2項
前段部分は、1項で説明しました。
ただし書きは、持ち株比率に応じて株式が割り当てられたが、端数が生じた場合は、その部分は切捨てられると規定しています。以下を例にします。
Aさん(500株保有)→ 50株
Bさん(300株保有)→ 30株
Cさん(199株保有)→ 19.9株 △端数切捨てにより19株のみ割当てられる
Dさん( 1株保有)→ 0.01株 ×端数切捨てにより割当てナシ
Cさんの端数0.9株分とDさんの端数0.01株分が切り捨てられるので、全体としては99株を新たに発行することになります。
続いて第3項を確認します。
▼会社法202条3項
3項は「各号」というフレーズが沢山出てくるので、一見よく分からない条文です。
199条の振り返りになりますが、第三者割当てでの募集株式の発行は、非公開会社では株主総会の特別決議、公開会社では201条の特則により取締役会決議で、募集事項の決定をすることが出来ると規定されていました。
株主割当方式で募集株式の発行をする場合も、流れは同じです。
つまり、非公開会社では株主総会決議(202条3項4号)、公開会社では取締役会決議(202条3項3号)となります。
1号、2号にあるように、株主割当方式は定款で別段の定めをすれば、非公開会社であっても、取締役の決定(または取締役会の決議)で募集事項の決定をすることが出来ます。
これは、新たなメンバーが株主として入ってくるわけではなく、既存株主にのみ株式が割当てられるので影響は少ないため、このような取扱いになっているものと思われます。
また、募集事項は199条2項で定義化されているので、もう一度確認することをお勧めします。
続いて第4項を確認します。
▼会社法202条4項
株主割当方式での募集株式の発行を決めたら、通知により株主に知らせる必要があります。通知は1項2号の募集株式の引受けの申込みの期日の2週間までに通知しなければなりません。
続いて第5項を確認します。
▼会社法202条5項
要は、第三者割当方式と被る規定については、株主割当て方式では適用しないと定めています。
平成5年34問目(会社法)
会社法上の公開会社の募集株式の発行における株主の募集株式の割当てを受ける権利及び新株予約権に関する次の記述のうち,正しいものは幾つあるか。
肢 | 問い | 正誤 |
ア | 募集株式を発行する場合には,取締役会は,株主に募集株式の割当てを受ける権利を与える旨の決定をすることができる。 |
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イ | 株主が募集株式の割当てを受ける権利を有する場合においては,会社は各株主に対し,一定の期日までに株式の申込みをしないときはその権利を失う旨を通知しなければならない。 |
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ウ | ある種類の株式の内容として,その譲渡につき取締役会の承認を要する旨を定款に定めている種類株式発行会社においては,募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは,原則として当該種類株主総会の特別決議がなければ株主以外の者に募集株式の割当てを受ける権利を与えることができない。 |
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エ | 新株予約権の無償割当てを受けた株主は,その新株予約権を行使しない場合は,特別の定めがなくとも新株予約権を譲渡できる。 |
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オ | 株主に募集株式の割当てを受ける権利を与えた場合,その株式についての募集株式の払込金額を公告及び通知することを要する。 |
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