まずは第1項を確認します。
▼会社法199条1項
会社が株式(自己株を交付する場合も含む)の発行を行う場合、1~5号を決めなければなりません。
何株発行するのか、払込金額はいくらか、払込の期日または期間、資本金と資本準備金にいくら振り分けるか、決める必要があります。
続いて第2項を確認します。
▼会社法199条2項
199条1項の各号はまとめて「募集事項」と定義されました。
募集事項の決定は株主総会の特別決議が必要です。会社法309条2項5号も合わせて確認してみてください。公開会社と非公開会社で募集事項の決定の決定機関は変わりますが、ここでは非公開会社が前提になっています。
続いて第3項を確認します。
▼会社法199条3項
例えば、先月、1株あたり1万円での募集株式の発行をしたが、今月は1株あたり1円で募集株式の発行をした場合などがこれに当たります。
同じ種類の株式で、1株あたりの価値が1/10,000になっているので、既存株主にとっては影響大です。
このような特に有利な金額で募集株式の発行をする場合は、株主総会での説明義務が課せられています。
続いて第4項を確認します。
▼会社法199条4項
冒頭部分からも分かりますが、4項は種類株式発行会社限定の規定になります。1種類しか発行していない会社は対象外です。
上記の会社を例にします。
A種優先株式を新たに発行する場合、全体の株主総会+A種優先株主による種類株主総会の2つが必要になります。
譲渡制限がかかっているということは、自由に株式の売買ができない株式です。特定のメンバーだけを株主としたい場合もあるでしょう。
例えばの話しですが、仮にこの4項が存在しなかったら、どうなるでしょうか。
全体の株主総会だけでA種優先株式を発行できることになります。その場合、全体の議決権の90.9%を握っている普通株主の意向のみで、A種優先株式の追加発行をすることが出来ます。
そうなったら、特定のメンバーだけで構成したいA種優先株主の意思に反します。
そのため、全体の株主総会の他に、A種優先株主による種類株主総会の決議が求められているわけです。
この種類株主総会は特別決議になります(324条2項2号)。
ちなみに、上記の例では、A種優先株主による種類株主総会の決議を行っていない場合は、その募集株式の発行は無効になるので、注意してください。
4項は例外があり、定款で別段の定めをすることで、A種優先株主による種類株主総会をせずに、A種優先株式の発行をすることが出来ます。
さらに例外があり、A種優先株式が全て自己株になっていた場合は、議決権を行使できる者はいませんから、定款で別段の定めがなくとも、全体の株主総会のみで有効な募集株式の発行になります。
続いて第5項を確認します。
▼会社法199条5項
会社法コンメンタール5に詳細が書いてありますが、募集株式の発行の効力発生日(株主になる日)が違えば、別々の募集となるとのことです。
つまり、別々の募集になれば、均等性は求められませんが、そうでない場合は1項の内容は均等に定めなる必要があります。