まずは第1項を確認します。
▼会社法200条1項
199条では、募集株式の発行の際に、募集事項の決定は株主総会で決める必要があることを規定していました。
200条1項は、特定事項を除き、その募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に委任することが出来る規定です。
その特定事項とは、募集株式の数の上限及び払込金額の下限です。
最低限、株主総会で募集株式の数の上限及び払込金額の下限を決めさえすれば、後の細かいところは取締役に委任することが可能です。
以下の会社を例にしますと、
新たに普通株式を発行する場合、全体の株主総会で募集株式の数の上限及び払込金額の下限を決めておけば、後の細かいところは取締役に委任することが出来ます。
つまり、新たに発行してよい株数はMAX100株(募集株式の数の上限)までで、1株あたり1万円以上(払込金額の下限)にせよ、という枠だけ決めておけばよいということになります。
この2つを決めておけば、既存株主は、持株比率の希薄化(ダイリューションと言ったりします)を把握できますし、自分たちが取得した1株あたりの値段と同じかそれ以上にすれば、少なくとも会社の時価総額は維持することが出来ます。
このように、本条は最低限のことだけ株主総会で決めて、後の細かいところは取締役に委任することが出来る、という合理的な方法です。
続いて第2項を確認します。
▼会社法200条2項
1項の払込金額の下限が、特に有利な金額(前回の募集株式の発行よりだいぶ安いなど)の場合は、株主総会での説明義務が発生します。
既存株主は1株1万円で株式の発行を受けたのに、次に入ってくる株主は1株5,000円の半額だとしたら、既存株主は待った!と言いたくなるでしょう。
資金ショート間近で、急いでキャッシュの調達をしなければならない事もあるので、有利発行になる場面はそれなりにありますが、株主総会での説明義務が課せられています。
続いて第3項を確認します。
▼会社法200条3項
取締役への委任は、枠を決めた株主総会の日から1年以内の日である募集株式の発行まで有効です。
続いて第4項を確認します。
▼会社法200条4項
4項は種類株式発行会社限定の規定です。以下の会社を例にします。
種類株式発行会社の場合、A種優先株式の発行を取締役に委任する場合は、全体の株主総会+A種優先株主による種類株主総会が必要です。
この種類株主総会は特別決議になります(324条2項2号)。
この趣旨は199条4項と同じなので、確認してみてください。