まずは第1項を確認します。
▼会社法201条1項
株式の発行に関する、募集事項の決定は、公開会社であれば株主総会決議でなく、取締役会決議で決めることが可能です。
趣旨としては、上場企業などの公開会社であれば、株主多数で株主総会を開催するのも相当の時間的・金銭的コストがかかりますので、取締役会で募集株式の発行が出来るとなっています。
ただし、199条3項の有利発行に該当する場合は、既存株主に与える影響が大きいので、株主総会決議が必要になってきます。
続いて第2項を確認します。
▼会社法201条2項
公開会社である上場会社等が募集株式の発行をする際の規定です。
取締役会で募集事項の決定をするわけですが、1株あたりいくらで発行するか決める際に、上場していれば時価がすぐわかります。
時価から出来るだけ近い価額であれば、その価額をもって払込金とすることが可能です。
こちらも会社法コンメンタール5を参考にしています。
続いて第3項を確認します。
▼会社法201条3項
公開会社であれば、取締役会で募集事項の決定をするわけですが、払込期日(払込期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の2週間前までに、既存株主に通知をしなければなりません。
続いて第4項を確認します。
▼会社法201条4項
公開会社では株主が多数になることもあるので、個別的な通知はコストがかかります。
そのままの意味ですが、公告方法に従って公告することで、通知の代わりとすることが可能です。
続いて第5項を確認します。
▼会社法201条5項
金融商品取引法上の一定の要件にあたる会社は、募集事項の決定後の払込期日(払込期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の2週間前までの通知(または公告)はする必要がありません。
詳細は会社法施行規則40条に記載がありますが、長文のため割愛します。
平成25年28問目(会社法)
会社法上の公開会社における募集株式の発行に関する次のアからオまでの記述のうち正しいものは,どれか。なお,問題を解くにあたっては、各肢に明記されている場合を除き,定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答すること。
肢 | 問い | 正誤 |
ア | 会社は,取締役会の決議によって募集事項を定めた場合(株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合を除く。)には,募集事項において定められた払込期日の2週間前までに,当該募集事項を公告し,かつ,株主に対し,各別にこれを通知しなければならない。 |
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イ | 株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合であっても,その払込金額が当該株式の時価よりも相当程度低い金額であるときは,取締役は,株主総会において,当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。 |
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ウ | 会社が譲渡制限株式である募集株式の引受けの申込みをした者の中から当該募集株式の割当てを受ける者を定める場合には,その決定は,取締役会の決議によらなければならない。 |
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エ | 募集株式の引受人の給付した現物出資財産の価額がこれについて募集事項として定められた価額に著しく不足する場合には,当該定められた価額の決定に関する取締役会に議案を提案した取締役は,裁判所の選任した検査役の調査を経たときであっても,会社に対し,その不足額を支払う義務を負う。 |
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オ | 募集株式の引受人は,出資の履行をした募集株式の株主となった日から1年を経過した後は,その株式について権利を行使していない場合であっても,錯誤を理由として募集株式の引受けの取消しを主張することができない。 |
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