まずは第1項を確認します。
▼会社法172条1項
全部取得条項付種類株式の取得に反対する株主は、取得価格の決定の申し立てを裁判所に申し立てることが出来ます。
裁判所に申し立てられる株主は、単に議案に反対する株主だけでは足りず、株主総会に先立って反対の意思を会社に通知し、かつ株主総会で反対している者です。(1号)
議決権制限株式で、全部取得条項付種類株式の取得の決議に賛否を投じることが出来ない株主であれば、先立っての通知等は不要です。(2号)
この辺りは、116条の反対株主の株式買取請求と似ているので116条2項も併せて確認してみるとより理解が深まると思います。
続いて第2項を確認します。
▼会社法172条2項
171条1項で全部取得条項付種類株式の取得の決議について解説しましたが、その取得の決議の際に、取得日も決めます。(171条1項3号)
実務では、株主への通知等があるため、余裕を見て、全部取得条項付種類株式の取得の決議から取得日まで、1カ月以上空けるのが普通です。
続いて第3項を確認します。
▼会社法172条3項
株主が数百人など多数いる場合は、個別的な通知に非常にコストがかかることがあります。
そのような場合は、公告方法に従って、公告することで株主に対する個別通知を省略することが可能です。
続いて第4項を確認します。
▼会社法172条4項
取得日後の法定利息の支払い義務を会社に負わせています。
裁判所が全部取得条項付種類株式の取得価額を決定するのに、相当な時間が掛かることが多いので、会社にとっては辛い規定です。
続いて第5項を確認します。
▼会社法172条5項
会社は公正な価格と認める額を先に支払うことできます。
これにより、4項の法定利息(年6%)を支払う義務を回避することが出来ます。