会社法164条(特定の株主からの取得に関する定款の定め)を解説します。




会社法164条は特定の株主からの取得に関する定款の定めについて規定している条文です。





1.会社法164条の条文

第164条(特定の株主からの取得に関する定款の定め)
株式会社は、株式(種類株式発行会社にあっては、ある種類の株式。次項において同じ。)の取得について第百六十条第一項の規定による決定をするときは同条第二項及び第三項の規定を適用しない旨を定款で定めることができる。
株式の発行後に定款を変更して当該株式について前項の規定による定款の定めを設け、又は当該定めについての定款の変更(同項の定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとするときは、当該株式を有する株主全員の同意を得なければならない。

2.会社法164条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法164条1項

株式会社は、株式(種類株式発行会社にあっては、ある種類の株式。次項において同じ。)の取得について第百六十条第一項の規定による決定をするときは同条第二項及び第三項の規定を適用しない旨を定款で定めることができる。

特定の株式から株式を取得する場合、その他の既存株主にも個別的に通知をする必要がありました(160条)。

ただし、定款で別段の定めをすることで、その個別的な通知を省略することが可能です。

3.会社法164条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法164条2項

株式の発行後に定款を変更して当該株式について前項の規定による定款の定めを設け、又は当該定めについての定款の変更(同項の定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとするときは、当該株式を有する株主全員の同意を得なければならない。

1項の定款の定めを新たに設ける場合または変更する場合は、その種類の株式を有する株主全員の同意が必要になります。

通常、定款の変更は特別決議(309条2項11号)が必要であるところ、さらにその種類の株主全員の同意も必要になります。

株を売買するチャンスが一つ減ることになるので、既存株主にとってはネガティブな意味合いがあるためです。

この164条の定めは、株主が増えてきた場合、後から設けることは難しいです。会社設立時点もしくは外部株主が入る前に定款を整えておくのが実務の取扱いです。




 広告・関連記事 

条文・用語一覧

< 前の条文

次の条文 >