会社法53条(発起人等の損害賠償責任)を解説します。




会社法53条は発起人等の損害賠償責任について規定している条文です。







1.会社法53条の条文

第53条(発起人等の損害賠償責任)
発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
発起人、設立時取締役又は設立時監査役がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。



2.会社法53条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法53条1項

発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

任務懈怠責任を規定している条文になります。

設立後の条文の比較としまして、会社法423条を上げておきます。

423条には、会計監査人と会計参与がいますが、53条にはいません。

設立前には設立時会計監査人と設立時会計参与には、特に仕事がなく、そもそも責任がないからと思われます。



3.会社法53条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法53条2項

発起人、設立時取締役又は設立時監査役がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

53条1項は、会社に対して負う責任について規定していましたが、2項は第三者に対して負う責任について規定しています。

ただし、責任を負う場合は限定されており、悪意又は重大な過失があったときだけです。



4.司法書士試験の過去問に挑戦


平成15年30問目(会社法)

問い 正誤
発起人は、会社の設立に関して第三者に損害を与えた場合であっても、無過失であるときは、その第三者に対して損害を賠償する義務を負わない。
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平成25年27問目(会社法)

問い 正誤
発起人が会社の設立についてその任務を怠ったことにより会社に対して負 出損害賠償責任は,当該発起人が職務を行うにつき善意で,かつ,重大な過失がない場合でも、株主総会の特別決議によって免除することはできない。
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