会社法52条の2(出資の履行を仮装した場合の責任等)を解説します。




会社法52条の2は出資の履行を仮装した場合の責任等について規定している条文です。







1.会社法52条の2の条文

発起人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める行為をする義務を負う。
第三十四条第一項の規定による払込みを仮装した場合 払込みを仮装した出資に係る金銭の全額の支払
第三十四条第一項の規定による給付を仮装した場合 給付を仮装した出資に係る金銭以外の財産の全部の給付(株式会社が当該給付に代えて当該財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払)
前項各号に掲げる場合には、発起人がその出資の履行を仮装することに関与した発起人又は設立時取締役として法務省令で定める者は、株式会社に対し、当該各号に規定する支払をする義務を負う。ただし、その者(当該出資の履行を仮装したものを除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
発起人が第一項各号に規定する支払をする義務を負う場合において、前項に規定する者が同項の義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
発起人は、第一項各号に掲げる場合には、当該各号に定める支払若しくは給付又は第二項の規定による支払がされた後でなければ、出資の履行を仮装した設立時発行株式について、設立時株主(第六十五条第一項に規定する設立時株主をいう。次項において同じ。)及び株主の権利を行使することができない。
前項の設立時発行株式又はその株主となる権利を譲り受けた者は、当該設立時発行株式についての設立時株主及び株主の権利を行使することができる。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。



2.会社法52条の2の1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法52条の2の1項

発起人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める行為をする義務を負う。
第三十四条第一項の規定による払込みを仮装した場合 払込みを仮装した出資に係る金銭の全額の支払
第三十四条第一項の規定による給付を仮装した場合 給付を仮装した出資に係る金銭以外の財産の全部の給付(株式会社が当該給付に代えて当該財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払)

払込み・給付の仮装(仮装払込)とは、見せ金が多いです。

見せ金とは、借りてきたお金を出資し、会社設立後に引き出し、借金の弁済に充てることなどを言います。

会社運営の資金にあてず、形式的に出資の履行を整えただけになるので、仮装払込みと呼ばれています。

会社法34条1項も確認してみてください。



3.会社法52条の2の2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法52条の2の2項

前項各号に掲げる場合には、発起人がその出資の履行を仮装することに関与した発起人又は設立時取締役として法務省令で定める者は、株式会社に対し、当該各号に規定する支払をする義務を負う。ただし、その者(当該出資の履行を仮装したものを除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。

仮装払込みに関与した発起人・設立時取締役(会社法施行規則7条の2参照)は、職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明できた場合、責任を負いませんが、そうでないなら1項各号に規定する支払をする義務を負います。

また、仮装払込みをした本人は、常に責任を負います。





4.会社法52条の2の3項


続いて第3項を確認します。


▼会社法52条の2の3項

発起人が第一項各号に規定する支払をする義務を負う場合において、前項に規定する者が同項の義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。

仮装払込をした発起人と、職務を怠っていた発起人・設立時取締役は連帯債務者として、支払い義務を負います。



5.会社法52条の2の4項


続いて第4項を確認します。


▼会社法52条の2の4項

発起人は、第一項各号に掲げる場合には、当該各号に定める支払若しくは給付又は第二項の規定による支払がされた後でなければ、出資の履行を仮装した設立時発行株式について、設立時株主(第六十五条第一項に規定する設立時株主をいう。次項において同じ。)及び株主の権利を行使することができない。

仮装払込みとなった設立時発行株式については、1項または2項の支払いがされないと、設立時株式等の権利を行使することができません。



6.会社法52条の2の5項


続いて第5項を確認します。


▼会社法52条の2の5項

前項の設立時発行株式又はその株主となる権利を譲り受けた者は、当該設立時発行株式についての設立時株主及び株主の権利を行使することができる。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。

仮装払込みのあった株式であっても、譲渡された者は、権利行使ができます。

ただし、その者に悪意又は重大な過失がない場合のみです。


7.司法書士試験の過去問に挑戦


平成29年27問目(会社法)

問い 正誤
設立時監査役が設立時募集株式の発行に係る払込みを仮装するため預合いを行ったときは、預合いの罪は成立しない。
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