まずは第1項を確認します。
▼会社法336条1項
監査役の任期の規定ですが、原則4年となります。取締役の任期(332条1項)のように定款・株主総会の決議でも任期の短縮をすることは出来ません。
この規定には、監査役の地位の独立性を高め、しっかり監査してもらいたいという趣旨があるようです。
続いて第2項を確認します。
▼会社法336条2項
非公開会社であれば、定款で別段の定めをすることで、監査役の任期を10年まで伸長することが可能です。
続いて第3項を確認します。
▼会社法336条3項
補欠監査役についても、前任者の任期までとすることが可能です。
続いて第4項を確認します。
▼会社法336条4項
監査役設置会社に移行する場合、定款を変更する必要がありますが、廃止する場合も、同様に定款の変更が必要になります。
そして、監査役設置会社をやめる場合、在任中の監査役の任期が切れ、任期満了退任になります(1号)。
2号の委員会系の会社に移行する場合、それぞれ監査等委員と監査委員会があるので、別途監査役を選任することは出来ませんので、在任中の監査役は退任となります。
3号は、計算書類等についてのみ監査する必要があったところ、監査範囲の拡大になるので、改めて選任しなおす趣旨です。
4号は、非公開会社が公開会社に移行する場合です。
公開会社になると、監査のレベルも上げる必要がでてきますので、一旦退任し、改めて選任しなおす必要があります。
平成24年31問目(会社法)
次の対話は,補欠の監査役に関する教授と学生との対話である。
教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち,誤っているものはどれか。
なお,問題文に明記されている場合を除き,定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして,解答すること。
肢 | 問い | 正誤 |
ア | 教授:任期の満了前に退任した監査役の補欠として選任された監査役の任期を退任した監査役の任期の満了する時までとする旨の定款の定めがない場合であっても,この補欠の監査役の任期を退任した監査役の任期の満了する時まで短縮することができますか。
学生:そのような補欠の監査役の任期についての定款の定めがない場合には,株主総会の決議によっても,その補欠の監査役の任期を退任した監査役の任期の満了する時まで短縮することはできません。 |
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イ | 教授:それでは,そのような補欠の監査役の任期についての定款の定めがある場合には,この補欠の監査役の任期はどうなりますか。
学生:そのような補欠の監査役の任期についての定款の定めがある場合において、選任の際に,株主総会の決議によって,その監査役が補欠であってその任期を退任した監査役の任期の満了する時までとする旨が定められたときは,その補欠の監査役の任期は,退任した監査役の任期の満了する時までとなります。 |
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ウ | 教授:次に,株主総会の決議によって,会社法又は定款で定めた監査役の員数を欠くこととなるときに備えて補欠の監査役を選任することができますが,例えば、5名以内の監査役を置くという定款の定めがある監査役会設置会社であるA株式会社(以下「A社」という。)の5名の監査役のうち,3名が社外監査役である場合において,社外監査役ではなく,かつ,常勤の監査役でもない監査役1名が死亡したときは,補欠の監査役は,監査役に就任することができますか。
学生:いいえ。会社法で定めた監査役の員数及び定款で定めた監査役の員数をいずれも満たしているので,補欠の監査役は,監査役に就任することができません。 |
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エ | 教授:それでは,A社の5名の監査役のうち,3名が社外監査役である場合において,常勤の監査役ではない社外監査役1名が死亡したときは,補欠の社外監査役は,社外監査役に就任することができますか。
学生:はい。会社法で定めた社外監査役の員数を満たしていないので,補欠の社外監査役は,社外監査役に就任することができます。 |
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オ | 教授:最後に,A社の5名の監査役のうち,1名だけが社外監査役ではなく。常動の監査役である場合において、その常勤の監査役が死亡したとさは、補欠の監査役は、監査役に就任することができますか。
学生:はい。会社法上,監査役会は,監査役の中から常勤の監査役を選定しなければならないので,補欠の監査役は監査役に就任することができます。 |
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