2.会社法182条の2の1項
まずは第1項を確認します。
▼会社法182条の2の1項
1
株式の併合(単元株式数(種類株式発行会社にあっては、第百八十条第二項第三号の種類の株式の単元株式数。以下この項において同じ。)を定款で定めている場合にあっては、当該単元株式数に同条第二項第一号の割合を乗じて得た数に一に満たない端数が生ずるものに限る。以下この款において同じ。)をする株式会社は、次に掲げる日のいずれか早い日から効力発生日後六箇月を経過する日までの間、同項各号に掲げる事項その他法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
一
第百八十条第二項の株主総会(株式の併合をするために種類株主総会の決議を要する場合にあっては、当該種類株主総会を含む。第百八十二条の四第二項において同じ。)の日の二週間前の日(第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)
二
第百八十二条の四第三項の規定により読み替えて適用する第百八十一条第一項の規定による株主に対する通知の日又は第百八十一条第二項の公告の日のいずれか早い日
180条2項のコラムにも書いていますが、株式併合は既存株主を締め出すことが出来る強力な手続きなので、事前備置書類が必要な場合もあります。
まず、単元株式数が設定されていない会社の場合は、常に事前備置書類が必要です。
単元株式数が設定されている会社については、以下で具体例を挙げます。
株式会社X
・普通株式 1,000株(※単元株式数10株)
株式会社Xは、100株を1株(つまり1/100)にまとめる株式併合を行うとします。
1項には、当該単元株式数に180条2項1号の割合を掛け算して、1に満たない場合に限り、事前備置書類が必要と書いてあります。
今回の事例では、当該単元株式数(ここでは10株)に株式併合割合(ここでは1/100)を掛けると、0.1になるので、事前備置書類が必要になります。
また、3株を1株にまとめる場合は、当該単元株式数(ここでは10株)に株式併合割合(ここでは1/3)を掛けると、3.333・・・となり、1に満たない数字も発生するため、事前備置書類が必要になります。
10株を1株(つまり1/10)にまとめる株式併合を行うのであれば、1に満たない数字は発生しないので事前備置書類は不要です。
こちらについては以下の書籍を根拠に書いています。
1に満たない端数が生じる株式併合とは、例えば、単元株式数が10株で、100株を1株とする株式併合~(略)~、単元株式数が10株で、3株を1株とする株式の併合がされる場合を含む。
(弁護士 戸嶋浩二 森・濱田松本法律事務所 『株式・種類株式』 中央経済社.)
3.会社法182条の2の2項
続いて第2項を確認します。
▼会社法182条の2の2項
2
株式の併合をする株式会社の株主は、当該株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
一
前項の書面の閲覧の請求
二
前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
三
前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
四
前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
株式併合で影響があるのは既存株主のみなので、債権者は事前備置書類の閲覧は出来ません。
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