会社法180条(株式の併合)を解説します。




会社法180条は株式の併合について規定している条文です。







1.会社法180条の条文

第180条(株式の併合)
株式会社は、株式の併合をすることができる。
株式会社は、株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
併合の割合
株式の併合がその効力を生ずる日(以下この款において「効力発生日」という。)
株式会社が種類株式発行会社である場合には、併合する株式の種類
効力発生日における発行可能株式総数
前項第四号の発行可能株式総数は、効力発生日における発行済株式の総数の四倍を超えることができない。ただし、株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。
取締役は、第二項の株主総会において、株式の併合をすることを必要とする理由を説明しなければならない。



2.会社法180条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法180条1項

株式会社は、株式の併合をすることができる。

株式併合とは、例えば2株を1株にまとめる処理のことを言います。

1株を2株に増やす処理は株式分割と言われますが、株式併合と株式分割は逆の処理になります。



3.会社法180条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法180条2項

株式会社は、株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
併合の割合
株式の併合がその効力を生ずる日(以下この款において「効力発生日」という。)
株式会社が種類株式発行会社である場合には、併合する株式の種類
効力発生日における発行可能株式総数

株式併合を行うには、株主総会の特別決議(309条2項4号)が必要です。

決議の際には、上記1~4号を決める必要があります。

株式併合により1株未満になってしまう株主は、株主としての地位を失います(234条)。

例えば2株を1株にする株式併合を行う場合、現在1株のみ所有している株主は0.5株になってしまいますので、株主としての地位を失うことになります。

1株未満になった株主は株を取られてお終い、というわけでなく、株の端数分を現金で支払われます(235条)。


キャッシュアウトとしての株式併合

株式併合は単純に2株を1株にまとめることも出来ますし、100万株を1株にまとめることも出来ます。

これを利用して、株式併合はしばしばキャッシュアウトの手段として用いられます。上場企業同士でも見られます。

100万株を1株にまとめる株式併合であれば、100万株の株主は1株を所有することが出来、100万株未満の株主は株主としての地位を失うので、会社から追い出すことが可能です。

上場企業では、まず公開買い付けで一定数の株数を所有したのち、株式併合でその他の株主を締め出す、というスキームが多いようです。



当たり前ですが、特定の株主が保有している株式のみ株式併合を行う、ということはもちろんできません。

根拠してはリーガルクエスト会社法に記載がありました。


各株主の保有株式数を一律・按分比例的に減少または増加させる行為であり、~(略)

(伊藤靖史『LEGAL QUEST会社法』 有斐閣.)

後段部分の「増加させる行為であり」は株式分割に係る記載なので、株式併合の事ではありません。



4.会社法180条3項


続いて第3項を確認します。


▼会社法180条3項

前項第四号の発行可能株式総数は、効力発生日における発行済株式の総数の四倍を超えることができない。ただし、株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。

株式併合を行う際に、2項4号の発行可能株式総数も決めなければなりませんが、趣旨としては113条3項と同じですので、こちらを参照してみてください。



5.会社法180条4項


続いて第4項を確認します。


▼会社法180条4項

取締役は、第二項の株主総会において、株式の併合をすることを必要とする理由を説明しなければならない。

2項のコラムに記載のとおり、株式併合は使い方によっては、既存の株主を追い出すことも可能なので、取締役に株主総会での説明義務を負わせています。




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