まずは第1項を確認します。
▼会社法180条1項
株式併合とは、例えば2株を1株にまとめる処理のことを言います。
1株を2株に増やす処理は株式分割と言われますが、株式併合と株式分割は逆の処理になります。
続いて第2項を確認します。
▼会社法180条2項
株式併合を行うには、株主総会の特別決議(309条2項4号)が必要です。
決議の際には、上記1~4号を決める必要があります。
株式併合により1株未満になってしまう株主は、株主としての地位を失います(234条)。
例えば2株を1株にする株式併合を行う場合、現在1株のみ所有している株主は0.5株になってしまいますので、株主としての地位を失うことになります。
1株未満になった株主は株を取られてお終い、というわけでなく、株の端数分を現金で支払われます(235条)。
キャッシュアウトとしての株式併合
株式併合は単純に2株を1株にまとめることも出来ますし、100万株を1株にまとめることも出来ます。
これを利用して、株式併合はしばしばキャッシュアウトの手段として用いられます。上場企業同士でも見られます。
100万株を1株にまとめる株式併合であれば、100万株の株主は1株を所有することが出来、100万株未満の株主は株主としての地位を失うので、会社から追い出すことが可能です。
上場企業では、まず公開買い付けで一定数の株数を所有したのち、株式併合でその他の株主を締め出す、というスキームが多いようです。
当たり前ですが、特定の株主が保有している株式のみ株式併合を行う、ということはもちろんできません。
根拠してはリーガルクエスト会社法に記載がありました。
各株主の保有株式数を一律・按分比例的に減少または増加させる行為であり、~(略)
(伊藤靖史『LEGAL QUEST会社法』 有斐閣.)
後段部分の「増加させる行為であり」は株式分割に係る記載なので、株式併合の事ではありません。
続いて第3項を確認します。
▼会社法180条3項
株式併合を行う際に、2項4号の発行可能株式総数も決めなければなりませんが、趣旨としては113条3項と同じですので、こちらを参照してみてください。
続いて第4項を確認します。
▼会社法180条4項
2項のコラムに記載のとおり、株式併合は使い方によっては、既存の株主を追い出すことも可能なので、取締役に株主総会での説明義務を負わせています。