会社法159条(譲渡しの申込み)を解説します。




会社法159条は譲渡しの申込みについて規定している条文です。





1.会社法159条の条文

第159条(譲渡しの申込み)
前条第一項の規定による通知を受けた株主は、その有する株式の譲渡しの申込みをしようとするときは、株式会社に対し、その申込みに係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び数)を明らかにしなければならない。
株式会社は、第百五十七条第一項第四号の期日において、前項の株主が申込みをした株式の譲受けを承諾したものとみなす。ただし、同項の株主が申込みをした株式の総数(以下この項において「申込総数」という。)が同条第一項第一号の数(以下この項において「取得総数」という。)を超えるときは、取得総数を申込総数で除して得た数に前項の株主が申込みをした株式の数を乗じて得た数(その数に一に満たない端数がある場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)の株式の譲受けを承諾したものとみなす。



2.会社法159条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法159条1項

前条第一項の規定による通知を受けた株主は、その有する株式の譲渡しの申込みをしようとするときは、株式会社に対し、その申込みに係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び数)を明らかにしなければならない。

前条第1項とは158条1項ですが、会社から株式買取に関する通知(公告)があったら、株を手放すことに同意する株主は、手放す株数と種類株式発行会社であればその種類も会社に通知する必要があります。


3.会社法159条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法159条2項

株式会社は、第百五十七条第一項第四号の期日において、前項の株主が申込みをした株式の譲受けを承諾したものとみなす。ただし、同項の株主が申込みをした株式の総数(以下この項において「申込総数」という。)が同条第一項第一号の数(以下この項において「取得総数」という。)を超えるときは、取得総数を申込総数で除して得た数前項の株主が申込みをした株式の数を乗じて得た数(その数に一に満たない端数がある場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)の株式の譲受けを承諾したものとみなす。

実際に会社が具体的な買取を決定する規定が157条でした。

157条1項4号の期日とは、会社が決定した買取の期日です。その日に、会社が株式の譲受けを承諾したものとみなされます。

ただし書き以降が若干混み入っているので、具体例を挙げます。




株式会社X
・普通株式 1,000株

普通株式の株主は、Aさん500株、Bさん300株、Cさん200株を保有


まず、前半部分で申込総数が定義されました。

Aさん、Bさん、Cさんから以下のように株を手放したい、と申し込まれた場合の合計数のことです。


   Aさん(500株保有)→ 100株申込
   Bさん(300株保有)→ 全株申込(300株)
   Cさん(200株保有)→ 申込なし

つまり、申込総数は400株ですね。

続いて、取得総数も定義されましたがこれは、会社が決めた株を買い取る数のことです。

仮に取得総数を100株とした場合、100株の買取枠に対して、400株の申し込みがあったので、オーバーしています。

ここで、ただし書きの後半部分が効いてくるわけです。

取得総数(100株)を申込総数(400株)で除して得た数(つまり0.25)前項の株主が申込みをした株式の数を乗じて得た数が、会社が株式の譲受けを承諾したものとみなされることになります。

Aさん→ 100株申込に対して0.25を掛ける→ 25株

Bさん→ 300株申込に対して0.25を掛ける→ 75株

上記の計算の結果、1に満たない端数が生じた場合は、切り捨てられます。




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