まずは第1項を確認します。
▼会社法118条1項
冒頭のポイントにも書きましたが、116条の反対株主の株式買取請求の新株予約権版が、この118条だと思ってください。
第107条第1項第1号とは、株式に譲渡制限を設ける場面です。
新株予約権とは、ある種類の株式を将来取得できる権利です。
自由に売買することができる株式を取得する予定だったのに、その株式が譲渡制限株式になってしまったら、新株予約権者にとっては大問題ですので、新株予約権買い取れ!と言えます。
第108条第1項第4号は、1号と同じく、ある種類の株式に新たに譲渡制限を設ける場面のこと、第108条第1項第7号は、ある種類の株式に新たに全部取得条項を設ける場面のことです。
詳細は会社法116条1項2号の記載をご確認ください。
118条は116条と違い、116条1項の3号にあたる部分はありませんのでご注意ください。
すなわち、株式分割や株式併合で、ある種類の株式に損害が出るおそれがある場合、その株式を保有している株主は株を買い取れ!と主張出来るのに対し、その株式を目的としている新株予約権者は、買い取れ!と主張出来ません。
続いて第2項を確認します。
▼会社法118条2項
社債が新株予約権にくっついているパターンです。原則、社債とセットで買い取り請求する必要があります。
ただし、新株予約権付社債の発行時に、別段の定めをしている場合は、新株予約権付社債の新株予約権部分のみを買い取ってもらうことも可能です。
続いて第3項を確認します。
▼会社法118条3項
新株予約権者は株主ではないので、株主総会に出席して議決権を行使することはできません。
そのため、そもそも「反対新株予約権者」という概念もありません。
株式に譲渡制限を設ける場面、全部取得条項を設ける場面のいずれも、定款変更が必要ですので、その効力発生日の20日前までには、新株予約権に対して、通知する必要があります。
続いて第4項を確認します。
▼会社法118条4項
新株予約権者が数百人など多数いる場合は、個別的な通知に非常にコストがかかることがあります。そのような場合は、公告方法に従って、公告することで新株予約権者に対する個別通知を省略することが可能です。
続いて第5項を確認します。
▼会社法118条5項
会社側より、事前に通知が来るので、定款変更日の20日前の日から定款変更日の前日までの間に、手放したい新株予約権の内容と数を会社に通知しなければなりません。
続いて第6項を確認します。
▼会社法118条6項
株式買取請求権の場合と同様に、新株予約権証券が発行されている場合は、5項による新株予約権買取通知をする場合、その新株予約権証券も会社に提出する必要があります。
ただし書き部分ですが、非訟事件手続法の114条、116条あたりに、有価証券の紛失等があった場合、裁判所に申し立てることにより一定事項を無効にすることができるのですが、興味がありましたらご確認ください。
続いて第7項を確認します。
▼会社法118条7項
こちらの規定は118条6項の新株予約権付社債券版です。
続いて第8項を確認します。
▼会社法118条8項
新株予約権者側から、新株予約権買取請求の中止を申し込める規定です。新株予約権買取請求の中止を申し込むことはできますが、会社が承諾した場合にのみ、可能です。
新株予約権買取申込をしちゃった後は会社の承諾がいる、というのは、株式買取請求権同様、当たり前の規定です。
こちらの規定は118条6項の新株予約権付社債券版です。
続いて第9項を確認します。
▼会社法118条9項
会社側から、新株予約権買取請求の原因である事項をキャンセルできる規定です。
続いて第10項を確認します。
▼会社法118条10項
会社法260条は「新株予約権者の請求による新株予約権原簿記載事項の記載又は記録」ですが、新株予約権買取請求権をした場合は、会社の方で新株予約権原簿のメンテナンスを当然するからだと思われます。