まずは第1項を確認します。
▼会社法197条1項
条文理解がややこしくなるので、青マーカー部分は一旦飛ばします。
1号と2号のいずれにも該当する場合は、会社はその株式を競売することが出来ます。
要件の1つ目は、196条1項の通知・催告が5年以上継続して届かなった場合であること。
要件の2つ目は、その株主が5年間剰余金の配当を受け取らなかった場合です。
青マーカー部分は飛ばしましたが、294条2項の規定により通知及び催告を要しないものとは、取得条項付新株予約権(無記名)の取得の対価が株式であったが、その新株予約権の回収時に新株予約権証券が提出されなていない者が該当します。
コラム
197条により、所在不明株主の株式を会社が競売できるわけですが、通知も剰余金の受領も5年間以上受けていない株主なら、競売したお金も渡しようがないと思った方もいるのではないでしょうか。
会社法コンメンタール4にも、同様の記載がありまして、実務では競売代金を供託するようです。
株式が競売されることにより、株主であったものは、その代金を受領する権利を取得します。
金銭債権ですね。会社は債務者になるので、受領不能または債権者不確知を理由に、競売代金を供託することで、債務を免れることが出来ます(民法494条)。
民法の絡みが出てきたりして、面白い部分ではあると思います。
続いて第2項を確認します。
▼会社法197条2項
株式を競売するのは、時間も費用もかかるので、その他の方法が2項で規定されています。
まず、上場企業など市場価格がある場合は、会社法施行規則38条に定められた価格で売却することが出来ます。
市場価格がない場合、裁判所の許可が必要ですが、競売以外の方法での売却も可能です。
この場合は、取締役の全員の一致で申し立てを行う必要があります。
続いて第3項を確認します。
▼会社法197条3項
2項の規定により、所在不明株主の株式を会社が買い取ることが出来ます。
会社が買い取った場合、自己株式になります。
また、分配可能額の範囲内でしか買い取れない縛りも発生します。
続いて第4項を確認します。
▼会社法197条4項
所在不明株主の株式を会社が買い取る場合、取締役会では取締役会決議が必要です。
続いて第5項を確認します。
▼会社法197条5項
その株式に登録株式質権者がいる場合で、その登録株式質権者が通知(催告)、配当金の交付を5年間継続して受領していない場合も同様に、競売等での売却が出来ると規定しています。