単元株式数は定款記載事項(188条1項)なので、設定等を行う場合は、株主総会の特別決議が必要です。
本条は、株式分割と同時かつ、一定の場合は株主総会決議を経ずに単元株式数を設定・増加できる規定になります。
以下で具体的を挙げます。
株式会社Xは1株を100株に増やす株式分割を行う予定です。
株式分割を行うと、以下のようになります。
2号のイとロの関係ですが、イ >= ロであれば、株主総会決議不要で単元株式数を設定・増加することが出来ます。
単元株式数を100株とする場合について検討します。
イは「当該定款の変更後において各株主がそれぞれ有する株式の数」を「単元株式数で除して得た数」となっているので、前方の「当該定款の変更後において各株主がそれぞれ有する株式の数」はそれぞれ、
株主Aは9,000×100分割=900,000株
株主Bは900×100分割=90,000株
株主Cは100×100分割=10,000株
となります。
後方の「単元株式数で除して得た数」は、今回は単元株式数を100株としているので、イの数字としては以下になります。
株主Aは900,000株/100株=9,000
株主Bは90,000株/100株=900
株主Cは10,000/100株=100
ロは当該定款の変更前において各株主がそれぞれ有する株式の数(単元株式数を定めている場合にあっては、当該株式の数を単元株式数で除して得た数)、なので今回は以下になります。
株主Aは9,000株
株主Bは900株
株主Cは100株
イの数字がロの株数を下回らないので、今回の事例では株式分割と同時であれば、株主総会決議無しで単元株式数100株を設定することが出来ます。
長く解説してきましたが一言でいえば、191条は、株式分割と単元株式数の設定・増加の前後で、各株主の議決権の数が下回らなければOKという趣旨です。
会社法コンメンタール4にも同様の趣旨の解説が掲載されています。
本条2号は「変更後の各株主の議決権数が変更前の各株主の議決権数以上であること」を求めている。
(山下友信 『会社法コンメンタール4』 商事法務.)