まずは第1項を確認します。
▼会社法184条1項
株式分割で株が増える株主は、基準日時点の株主だけです。
効力発生日に、183条2項1号で定めた割合によって株が増えます。
続いて第2項を確認します。
▼会社法184条2項
2項は発行可能株式総数の変更に関する特則です。
発行可能株式総数の変更は、定款変更にあたるため、株主総会の特別決議が必要です。
ただし、株式分割の効力発生日(183条2項2号)に、分割割合(183条2項1号)の範囲内であれば、株主総会の決議なしに発行可能株式総数を増加させることが出来ます。
以下、具体例です。
株式会社Xは1株を100株とする株式分割を行うことにしました。
つまり、株式分割の割合は99です。分割割合については、183条2項で解説しています。
普通株式の数は100株から10,000株になりました。
本項は、上記の株式分割の割合99の範囲内で、株主総会の決議なしに、発行可能株式総数を増やすことが出来ると規定しています。
上記の事例では、1株から990,000株まで発行可能株式総数を増加させることが出来ます。
これが出来るのは、単一発行会社と種類株式発行会社で、まだ1種類しか株式を発行していない会社に限られます。