まずは第1項を確認します。
▼会社法183条1項
株式分割とは、1株を2株に増やすことをいいます。株の細分化ともいいます。
実務的には、投資ロットを下げるためであったり、ストックオプション交付のためであったり、IPO直前においては、1株あたりの売り出し価格の調整で行われたりします。
続いて第2項を確認します。
▼会社法183条2項
株式分割を行うにあたって、取締役会設置会社であれば取締役会で株式分割を行うことを決定することが出来ます。
取締役会設置会社でない会社にあっては、株主総会の普通決議が必要です。
1株を2株にするのは、2倍なので出来ますが、3株を5株など1.66666…倍とする株式分割は出来るのでしょうか。
結論としては出来ます。
10株を分けて11株にしたり、3株を分けて5株にするように、株式を細分化して従来より多数の株式にする会社の行為を株式分割とよぶ。
(山下友信 『会社法コンメンタール4』 商事法務.)
ところで、1号の記載振りが訳わからなくて笑えます。かっこ書きは省略しています。
株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式の総数に対する割合及び当該株式の分割に係る基準日
こんなに「の」が入っている条文は他にあるのでしょうか。
内容整理のためカギかっこでくくります。
「株式の分割により増加する株式の総数」の「株式の分割前の発行済株式の総数」に対する割合及び当該株式の分割に係る基準日
現在100株を発行している会社が、1株を100株に分割する場合、株式分割後の発行済み株式総数は10,000株になります。
増加する株式数は9,900株ですので、「株式の分割により増加する株式の総数」は9,900です。
「株式の分割前の発行済株式の総数」は100株ですので、100です。
つまり割合は9,900/100の99になります。
後半部分は基準日を定めよ、と規定しています。