会社法176条(売渡しの請求)を解説します。




会社法176条は売渡しの請求について規定している条文です。







1.会社法176条の条文

第176条(売渡しの請求)
株式会社は、前条第一項各号に掲げる事項を定めたときは、同項第二号の者に対し、同項第一号の株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる。ただし、当該株式会社が相続その他の一般承継があったことを知った日から一年を経過したときは、この限りでない。
前項の規定による請求は、その請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
株式会社は、いつでも、第一項の規定による請求を撤回することができる。



2.会社法176条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法176条1項

株式会社は、前条第一項各号に掲げる事項を定めたときは、同項第二号の者に対し、同項第一号の株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる。ただし、当該株式会社が相続その他の一般承継があったことを知った日から一年を経過したときは、この限りでない。

相続その他一般承継により、譲渡制限株式の売渡しの請求が出来るのは、会社がその事実を知ってから1年以内です。

1年以内の期限が付いているのは、長期間に渡って相続等をした株主を不安定な地位に置くべきでないからとの趣旨です。以下会社法コンメンタール4の該当箇所抜粋です。


一方的に、当該相続人等の株主としての地位を奪うものであることにかんがみ、長期間にわたり、当該相続人等をそのような不安定な地位に置くべきでない・・・(略)

(山下友信『会社法コンメンタール4』 商事法務.)


3.会社法176条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法176条2項

前項の規定による請求は、その請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。

譲渡制限株式に相続等が発生した場合に、会社が売渡し請求をする場合、対象となる株式の種類と数を明らかにする必要があるという、当たり前の規定です。



4.会社法176条3項


続いて第3項を確認します。


▼会社法176条3項

株式会社は、いつでも、第一項の規定による請求を撤回することができる。

譲渡制限株式に相続等が発生した場合の売渡し請求に関しては、会社はいつでも撤回することが出来ます。




 広告・関連記事 

条文・用語一覧

< 前の条文

次の条文 >