会社法429条(役員等の第三者に対する損害賠償責任)/条文と解説




会社法429条は役員等の第三者に対する損害賠償責任について規定している条文です。



1.会社法429条の条文

第429条(役員等の第三者に対する損害賠償責任)
役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
取締役及び執行役 次に掲げる行為
株式、新株予約権、社債若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録
計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに臨時計算書類に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
虚偽の登記
虚偽の公告(第440条第3項に規定する措置を含む。)
会計参与 計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに会計参与報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
監査役、監査等委員及び監査委員 監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
会計監査人 会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録

2.会社法429条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法429条1項

役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

423条と似た条文ですが、423条は会社に対して責任を負う規定なのに対し、429条は第三者に対して責任を負う規定です。

LEGAL QUESTの会社法に詳細な説明が記載されていますが、その一部を紹介すると、弁済の見込みがないのにも関わらず、X社より商品を仕入れ、手形を振り出したA社の代表取締役Bは、倒産したとしても、X社(債権者)による429条1項の責任を負うことになります。


上記は、直接損害事例になりますが、間接損害事例についてもLEGAL QUESTに詳細な説明があるので、実務書としてお勧めします。

3.会社法429条2項


続いて、第2項を確認します。


▼会社法429条2項

次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
取締役及び執行役 次に掲げる行為
株式、新株予約権、社債若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録
計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに臨時計算書類に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
虚偽の登記
虚偽の公告(第440条第3項に規定する措置を含む。)
会計参与 計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに会計参与報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
監査役、監査等委員及び監査委員 監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
会計監査人 会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録

2項は虚偽関係のことです。責任を追及されるのは取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人です。

要点としては、虚偽の報告をした事で、第三者に損害が発生した場合、上記の役員等は第三者に対して責任を負います。




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