会社法102条(設立手続等の特則)を解説します。




会社法102条は設立手続等の特則について規定している条文です。








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1.会社法102条の条文

第102条(設立手続等の特則)
設立時募集株式の引受人は、発起人が定めた時間内は、いつでも、第三十一条第二項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、同項第二号又は第四号に掲げる請求をするには、発起人の定めた費用を支払わなければならない。
設立時募集株式の引受人は、株式会社の成立の時に、第六十三条第一項の規定による払込みを行った設立時発行株式の株主となる。
設立時募集株式の引受人は、第六十三条第一項の規定による払込みを仮装した場合には、次条第一項又は第百三条第二項の規定による支払がされた後でなければ、払込みを仮装した設立時発行株式について、設立時株主及び株主の権利を行使することができない。
前項の設立時発行株式又はその株主となる権利を譲り受けた者は、当該設立時発行株式についての設立時株主及び株主の権利を行使することができる。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。
民法第九十三条第一項ただし書及び第九十四条第一項の規定は、設立時募集株式の引受けの申込み及び割当て並びに第六十一条の契約に係る意思表示については、適用しない。
設立時募集株式の引受人は、株式会社の成立後又は創立総会若しくは種類創立総会においてその議決権を行使した後は、錯誤、詐欺又は強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。



2.会社法102条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法102条1項

設立時募集株式の引受人は、発起人が定めた時間内は、いつでも、第三十一条第二項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、同項第二号又は第四号に掲げる請求をするには、発起人の定めた費用を支払わなければならない。

会社法31条2項各号とは定款の閲覧請求権のことです。

設立時株主は、定款の閲覧請求権があります。



3.会社法102条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法102条2項

設立時募集株式の引受人は、株式会社の成立の時に、第六十三条第一項の規定による払込みを行った設立時発行株式の株主となる。

設立時募集株式の引受人は、出資の時ではなく、会社が成立した時に株主となります(会社法63条1項)。



4.会社法102条3項


続いて第3項を確認します。


▼会社法102条3項

設立時募集株式の引受人は、第六十三条第一項の規定による払込みを仮装した場合には、次条第一項又は第百三条第二項の規定による支払がされた後でなければ、払込みを仮装した設立時発行株式について、設立時株主及び株主の権利を行使することができない。

会社法63条1項の払込みの仮装とは、預合いや見せ金のことです。

払込みをしなければ、設立時株主及び株主の権利を行使できません。



5.会社法102条4項


続いて第4項を確認します。


▼会社法102条4項

前項の設立時発行株式又はその株主となる権利を譲り受けた者は、当該設立時発行株式についての設立時株主及び株主の権利を行使することができる。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。

3項の仮装払込みの株式であっても、善意で重大な過失がない者は、株主としての権利を行使することができます。



6.会社法102条5項


続いて第5項を確認します。


▼会社法102条5項

民法第九十三条第一項ただし書及び第九十四条第一項の規定は、設立時募集株式の引受けの申込み及び割当て並びに第六十一条の契約に係る意思表示については、適用しない。

民法93条は心裡留保、94条は虚偽表示のことです。

会社法60条の設立時募集株式の申込・割当て、会社法61条の総数引受契約については適用されません。



7.会社法102条6項


続いて第6項を確認します。


▼会社法102条6項

設立時募集株式の引受人は、株式会社の成立後又は創立総会若しくは種類創立総会においてその議決権を行使した後は、錯誤、詐欺又は強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。

錯誤、詐欺又は強迫によって設立時募集株式を引き受けた場合、株式の引受けを取り消すことができます。

ただし、会社が成立した後や、(種類)創立総会で議決権を行使した後は、株主として確定となり、株式の引受けを取り消すことができなくなります。







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