まずは第1項を確認します。
▼会社法114条1項
普通株式とA種優先株式を発行している会社を例にします。
<発行可能種類株式総数>
・普通株式 1,000株
・A種優先株式 100株
<発行済株式数>
・普通株式 800株発行済み
・A種優先株式 100株発行済み
例として、上記のように、株を発行している会社があるとします。
この時、普通株式の発行可能種類株式総数は200株までしか減らすことはできません。普通株式の発行済株式数を下回ってしまうからです。
続いて第2項を確認します。
▼会社法114条2項
ややこしい記載ぶりです。上記と同様の例で解説します。
<発行可能種類株式総数>
・普通株式 1,000株
・A種優先株式 100株
<発行済株式数>
・普通株式 800株発行済み
・A種優先株式 100株発行済み
普通株式に着目してください。
普通株式は800株発行しているので、あと発行できる株式数は200株までですが、114条2項1号~3号の株式の株数分は別途留保しておきなさい、という規定です。
1号「行使期間到来済みの取得請求権付株式の目的となる株式の数」ですが、A種優先株式が取得請求権を行使することによって、普通株式を取得できる場合、その分の数は留保しておく必要があります。
つまり、普通株式の発行済株式数800株に、取得請求予定の株数100株を足した数である900株から、発行可能種類株式総数の1,000株を引いた株数である100株が、会社が残り発行できる普通株式数になります。この100株を超えて、普通株式を発行することはできません。
2号は「取得条項付株式」、3号は「行使期間到来済みの新株予約権」です。
これらも同じく、普通株式が目的の株であるならば、その数も留保しておかなければなりません。