会社法244条(募集新株予約権の申込み及び割当てに関する特則)を解説します。




会社法244条は募集新株予約権の申込み及び割当てに関する特則について規定している条文です。







1.会社法244条の条文

第244条(募集新株予約権の申込み及び割当てに関する特則)
前二条の規定は、募集新株予約権を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。
募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合における前項の規定の適用については、同項中「の引受け」とあるのは、「及び当該募集新株予約権を付した社債の総額の引受け」とする。
第一項に規定する場合において、次に掲げるときは、株式会社は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、同項の契約の承認を受けなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
募集新株予約権の目的である株式の全部又は一部が譲渡制限株式であるとき。
募集新株予約権が譲渡制限新株予約権であるとき。



2.会社法244条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法244条1項

前二条の規定は、募集新株予約権を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。

総数引受契約というものです。実務では、頻繁に使われるスキームです。

新規に発行する新株予約権の全てを、例えば従業員Aが引き受けるという契約です。

複数人であっても可能です。

初めから、今回発行する新株予約権の全てを引き受けるという契約なので、申込み・募集事項通知(242条)や割当て(243条)は不要になります。

この辺りが、実務でも使われるスキームの所以でもあります。



3.会社法244条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法244条2項

募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合における前項の規定の適用については、同項中「の引受け」とあるのは、「及び当該募集新株予約権を付した社債の総額の引受け」とする。

新株予約権付社債の場合は、1項の読み替えが発生します。


1項の読み替え前

前二条の規定は、募集新株予約権を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。


1項の読み替え後

前二条の規定は、募集新株予約権を引き受けようとする者がその総数及び当該募集新株予約権を付した社債の総額の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。



新株予約権付社債を発行する場合は、新株予約権の部分と社債の部分を分離して、違う人に割り当てることは出来ません(254条2項・3項)。

つまり、新株予約権付社債についても、総数引受契約方式で発行する場合には、申込み・募集事項通知(242条)や割当て(243条)は不要になることを定めた規定です。



4.会社法244条3項


続いて第3項を確認します。


▼会社法244条3項

第一項に規定する場合において、次に掲げるときは、株式会社は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、同項の契約の承認を受けなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
募集新株予約権の目的である株式の全部又は一部が譲渡制限株式であるとき。
募集新株予約権が譲渡制限新株予約権であるとき。

新株予約権の発行を総数引受契約方式で行う場合で、1号と2号に該当する場合のみ、契約書の承認を株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)にて決議しなければなりません。

趣旨としては、243条2項と同じなので、参照してみてください。




 広告・関連記事 

条文・用語一覧

< 前の条文

次の条文 >