会社法199条(募集事項の決定)を解説します。




会社法199条は募集事項の決定について規定している条文です。
199条から213条までが募集株式の発行に関する条文になります。





1.会社法199条の条文

第199条(募集事項の決定)
株式会社は、その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式(当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び数。以下この節において同じ。)
募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。以下この節において同じ。)又はその算定方法
金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額
募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間
株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項
前項各号に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
第一項第二号の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、前項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
種類株式発行会社において、第一項第一号の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、当該種類の株式に関する募集事項の決定は、当該種類の株式を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
募集事項は、第一項の募集ごとに、均等に定めなければならない。

2.会社法199条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法199条1項

株式会社は、その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式(当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び数。以下この節において同じ。)
募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。以下この節において同じ。)又はその算定方法
金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額
募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間
株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項

コラム

株式の発行は、会社にとって大変重要な手続きです。

バックオフィスのSaas系サービスを提供するフリー、法人向けクラウド名刺管理サービスのSansan、フリマアプリのメルカリなど、IPO達成企業のほとんどが外部から株式で資金を調達し、そのお金で自社サービスを拡大させ、IPOに至っています。

スタートアップでも時には100億円を超える資金調達もあり、数億円単位での株式での資金調達は日常茶飯事です。

前振りが長くなりましたが、実際にどういった流れで株式の発行が行われるのか、会社法の条文を通して確認します。

会社が株式(自己株を交付する場合も含む)の発行を行う場合、1~5号を決めなければなりません。

何株発行するのか、払込金額はいくらか、払込の期日または期間、資本金と資本準備金にいくら振り分けるか、決める必要があります。



3.会社法199条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法199条2項

前項各号に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)の決定は、株主総会の決議によらなければならない。

199条1項の各号はまとめて「募集事項」と定義されました。

募集事項の決定は株主総会の特別決議が必要です。会社法309条2項5号も合わせて確認してみてください。公開会社と非公開会社で募集事項の決定の決定機関は変わりますが、ここでは非公開会社が前提になっています。



4.会社法199条3項


続いて第3項を確認します。


▼会社法199条3項

第一項第二号の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、前項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。

例えば、先月、1株あたり1万円での募集株式の発行をしたが、今月は1株あたり1円で募集株式の発行をした場合などがこれに当たります。

同じ種類の株式で、1株あたりの価値が1/10,000になっているので、既存株主にとっては影響大です。

このような特に有利な金額で募集株式の発行をする場合は、株主総会での説明義務が課せられています。



5.会社法199条4項


続いて第4項を確認します。


▼会社法199条4項

種類株式発行会社において、第一項第一号の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、当該種類の株式に関する募集事項の決定は、当該種類の株式を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。

冒頭部分からも分かりますが、4項は種類株式発行会社限定の規定になります。1種類しか発行していない会社は対象外です。



株式会社X
・普通株式 1,000株(※譲渡制限株式)
・A種優先株式 100株(※譲渡制限株式)

上記の会社を例にします。

A種優先株式を新たに発行する場合、全体の株主総会+A種優先株主による種類株主総会の2つが必要になります。

譲渡制限がかかっているということは、自由に株式の売買ができない株式です。特定のメンバーだけを株主としたい場合もあるでしょう。

例えばの話しですが、仮にこの4項が存在しなかったら、どうなるでしょうか。

全体の株主総会だけでA種優先株式を発行できることになります。その場合、全体の議決権の90.9%を握っている普通株主の意向のみで、A種優先株式の追加発行をすることが出来ます。

そうなったら、特定のメンバーだけで構成したいA種優先株主の意思に反します。

そのため、全体の株主総会の他に、A種優先株主による種類株主総会の決議が求められているわけです。

ちなみに、上記の例では、A種優先株主による種類株主総会の決議を行っていない場合は、その募集株式の発行は無効になるので、注意してください。

4項は例外があり、定款で別段の定めをすることで、A種優先株主による種類株主総会をせずに、A種優先株式の発行をすることが出来ます。

さらに例外があり、A種優先株式が全て自己株になっていた場合は、議決権を行使できる者はいませんから、定款で別段の定めがなくとも、全体の株主総会のみで有効な募集株式の発行になります。



6.会社法199条5項


続いて第5項を確認します。


▼会社法199条5項

募集事項は、第一項の募集ごとに、均等に定めなければならない。

会社法コンメンタール5に詳細が書いてありますが、募集株式の発行の効力発生日(株主になる日)が違えば、別々の募集となるとのことです。

つまり、別々の募集になれば、均等性は求められませんが、そうでない場合は1項の内容は均等に定めなる必要があります。




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