会社法191条(定款変更手続の特則)を解説します。




会社法191条は定款変更手続の特則について規定している条文です。







1.会社法191条の条文

第191条(定款変更手続の特則)
株式会社は、次のいずれにも該当する場合には、第四百六十六条の規定にかかわらず、株主総会の決議によらないで、単元株式数(種類株式発行会社にあっては、各種類の株式の単元株式数。以下この条において同じ。)を増加し、又は単元株式数についての定款の定めを設ける定款の変更をすることができる。
株式の分割と同時に単元株式数を増加し、又は単元株式数についての定款の定めを設けるものであること。
イに掲げる数がロに掲げる数を下回るものでないこと。
当該定款の変更において株主がそれぞれ有する株式の数を単元株式数で除して得た数
当該定款の変更において株主がそれぞれ有する株式の数(単元株式数を定めている場合にあっては、当該株式の数を単元株式数で除して得た数)



単元株式数は定款記載事項(188条1項)なので、設定等を行う場合は、株主総会の特別決議が必要です。

本条は、株式分割と同時かつ、一定の場合は株主総会決議を経ずに単元株式数を設定・増加できる規定になります。

以下で具体的を挙げます。



株式会社X
・普通株式 10,000株
  株主Aは9,000株、株主Bは900株、株主Cは100株保有


株式会社Xは1株を100株に増やす株式分割を行う予定です。

株式分割を行うと、以下のようになります。


<株式分割後(100分割後)>
株式会社X
・普通株式 1,000,000株
  株主Aは900,000株、株主Bは90,000株、株主Cは10,000株保有


2号のイとロの関係ですが、イ >= ロであれば、株主総会決議不要で単元株式数を設定・増加することが出来ます。

単元株式数を100株とする場合について検討します。


191条2号イ

イは「当該定款の変更において各株主がそれぞれ有する株式の数」を「単元株式数で除して得た数」となっているので、前方の「当該定款の変更において株主がそれぞれ有する株式の数」はそれぞれ、


   株主Aは9,000×100分割=900,000株

   株主Bは900×100分割=90,000株

   株主Cは100×100分割=10,000株


となります。

後方の「単元株式数で除して得た数」は、今回は単元株式数を100株としているので、イの数字としては以下になります。


   株主Aは900,000株/100株=9,000

   株主Bは90,000株/100株=900

   株主Cは10,000/100株=100


191条2号ロ

ロは当該定款の変更において株主がそれぞれ有する株式の数(単元株式数を定めている場合にあっては、当該株式の数を単元株式数で除して得た数)、なので今回は以下になります。


   株主Aは9,000株

   株主Bは900株

   株主Cは100株


結果

イの数字がロの株数を下回らないので、今回の事例では株式分割と同時であれば、株主総会決議無しで単元株式数100株を設定することが出来ます。

長く解説してきましたが一言でいえば、191条は、株式分割と単元株式数の設定・増加の前後で、各株主の議決権の数が下回らなければOKという趣旨です。

会社法コンメンタール4にも同様の趣旨の解説が掲載されています。


本条2号は「変更後の各株主の議決権数が変更前の各株主の議決権数以上であること」を求めている。

(山下友信 『会社法コンメンタール4』 商事法務.)




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