まずは第1項を確認します。
▼会社法188条1項
原則は、1株につき1個の議決権です(308条1項)。
単元株式とは例えば10株を1単元とし、1単元につき議決権を1個付与する規定です。
10株を1単元とした場合は、10株未満については、議決権の付与は受けられません。
具体例としては以下です。
株主A 10,000株 → 議決権1,000個
株主B 5,199株 → 議決権519個
株主C 99株 → 議決権9個
続いて第2項を確認します。
▼会社法188条2項
単元株式数は無制限に決められるわけではありません。法務省令とは会社法施行規則34条のことですが、単元株数は1,000または発行済み株式総数の1/200を超えてはいけません。
コラム
単元株式数に制限を設けているのは、少数株主の保護が目的です。
例えば、10株ずつ保有している株主、1株ずつ保有している株主がそれぞれ多数いたとします。
仮に単元株式数を10株としたらどうなるでしょうか。
1株ずつ保有している株主は、単元株数に満たないので、株主総会でほぼ全ての議案に対して、議決権を行使することが出来なくなります。
会社の株主の状況により異なりますが、場合によっては不公平な決議になることも考えらます。
単元株式数を設けると、このような事が起こり得るので、一定の数を超えないように制限しています。
ただし、少ない株数を保有している株主が多数いて、株主総会の開催にコストがかかる場合は、あえて単元株式数を設けるケースもあります。
この辺りは、会社の要望等をヒアリングして決める部分になりますが、実務上面白い部分でもあります。
以下、具体例です。
株式会社Xは単元株数をMAX1,000株まで定められます。
1,001株とするのは単元株数が法定の1,000株を超えることになるのでダメです。
続いて、次の具体例です。
この場合は、単元株式は500株までとすることが出来ます。
ギリギリ、発行済み株式総数の1/200です。
単元株式を501株とするのは1/200を超えてしまうので出来ません。
続いて第3項を確認します。
▼会社法188条3項
種類株式発行会社であれば、それぞれの種類の株式に単元株式数を定めることが出来ます。
例えば、普通株式にのみ単元株式数を100株と、A種優先株式には単元株式数を定めない、ということも可能です。