会社法89条(累積投票による設立時取締役の選任)を解説します。




会社法89条は累積投票による設立時取締役の選任について規定している条文です。








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1.会社法89条の条文

第89条(累積投票による設立時取締役の選任)
創立総会の目的である事項が二人以上の設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役。以下この条において同じ。)の選任である場合には、設立時株主(設立時取締役の選任について議決権を行使することができる設立時株主に限る。以下この条において同じ。)は、定款に別段の定めがあるときを除き、発起人に対し、第三項から第五項までに規定するところにより設立時取締役を選任すべきことを請求することができる。
前項の規定による請求は、同項の創立総会の日の五日前までにしなければならない。
第七十二条第一項の規定にかかわらず、第一項の規定による請求があった場合には、設立時取締役の選任の決議については、設立時株主は、その引き受けた設立時発行株式一株(単元株式数を定款で定めている場合にあっては、一単元の設立時発行株式)につき、当該創立総会において選任する設立時取締役の数と同数の議決権を有する。この場合においては、設立時株主は、一人のみに投票し、又は二人以上に投票して、その議決権を行使することができる。
前項の場合には、投票の最多数を得た者から順次設立時取締役に選任されたものとする。
前二項に定めるもののほか、第一項の規定による請求があった場合における設立時取締役の選任に関し必要な事項は、法務省令で定める。



2.会社法89条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法89条1項

創立総会の目的である事項が二人以上の設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役。以下この条において同じ。)の選任である場合には、設立時株主(設立時取締役の選任について議決権を行使することができる設立時株主に限る。以下この条において同じ。)は、定款に別段の定めがあるときを除き、発起人に対し、第三項から第五項までに規定するところにより設立時取締役を選任すべきことを請求することができる。

会社成立前の創立総会でも、設立時取締役の累積投票制度があります。

詳細は会社法342条1項で解説していますので、確認してみてください。





3.会社法89条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法89条2項

前項の規定による請求は、同項の創立総会の日の五日前までにしなければならない。

創立総会にて累積投票形式で設立時取締役を選任した場合は、創立総会の5日前まで、発起人に対して請求しなければなりません。

発起人側も累積投票形式での選任に準備がいるためです。

株式数の保有要件などないので、1株でも持っていれば発起人に対して請求することが出来ます。





4.会社法89条3項


続いて第3項を確認します。


▼会社法89条3項

第七十二条第一項の規定にかかわらず、第一項の規定による請求があった場合には、設立時取締役の選任の決議については、設立時株主は、その引き受けた設立時発行株式一株(単元株式数を定款で定めている場合にあっては、一単元の設立時発行株式)につき、当該創立総会において選任する設立時取締役の数と同数の議決権を有する。この場合においては、設立時株主は、一人のみに投票し、又は二人以上に投票して、その議決権を行使することができる。

累積投票では1株=候補者数の投票数となります。会社法342条1項で詳しく解説していますので、確認してみてください。





5.会社法89条4項


続いて第4項を確認します。


▼会社法89条4項

前項の場合には、投票の最多数を得た者から順次設立時取締役に選任されたものとする。

こちらも、会社法342条1項で詳しく解説しています。





6.会社法89条5項


続いて第5項を確認します。


▼会社法89条5項

前二項に定めるもののほか、第一項の規定による請求があった場合における設立時取締役の選任に関し必要な事項は、法務省令で定める。

法務省令とは、会社法施行規則18条です。興味のある方は確認してみてください。


会社法施行規則18条(累積投票による設立時取締役の選任)

法第八十九条第五項の規定により法務省令で定めるべき事項は、この条の定めるところによる。

法第八十九条第一項の規定による請求があった場合には、発起人(創立総会の議長が存する場合にあっては、議長)は、同項の創立総会における設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役。以下この条において同じ。)の選任の決議に先立ち、法第八十九条第三項から第五項までに規定するところにより設立時取締役を選任することを明らかにしなければならない。

法第八十九条第四項の場合において、投票の同数を得た者が二人以上存することにより同条第一項の創立総会において選任する設立時取締役の数の設立時取締役について投票の最多数を得た者から順次設立時取締役に選任されたものとすることができないときは、当該創立総会において選任する設立時取締役の数以下の数であって投票の最多数を得た者から順次設立時取締役に選任されたものとすることができる数の範囲内で、投票の最多数を得た者から順次設立時取締役に選任されたものとする。

前項に規定する場合において、法第八十九条第一項の創立総会において選任する設立時取締役の数から前項の規定により設立時取締役に選任されたものとされた者の数を減じて得た数の設立時取締役は、同条第三項及び第四項に規定するところによらないで、創立総会の決議により選任する。






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