会社法37条(発行可能株式総数の定め等)を解説します。




会社法37条は発行可能株式総数の定め等について規定している条文です。







1.会社法37条の条文

第37条(発行可能株式総数の定め等)
発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(以下「発行可能株式総数」という。)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
発起人は、発行可能株式総数を定款で定めている場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、発行可能株式総数についての定款の変更をすることができる。
設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の四分の一を下ることができない。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。



2.会社法37条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法37条1項

発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(以下「発行可能株式総数」という。)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。

公証役場にて原始定款の認証を受けた場合でも、発行可能株式総数は定款に記載しないこともできます。

ただし、株式会社の成立の時までに、発起人全員の同意で発行可能株式総数を決めなければなりません。



3.会社法37条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法37条2項

発起人は、発行可能株式総数を定款で定めている場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、発行可能株式総数についての定款の変更をすることができる。

2項は発行可能株式総数は、株式会社の成立の時まで、発起人の全員の同意があれば変更できることを定めています。



4.会社法37条3項


続いて第3項を確認します。


▼会社法37条3項

設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の四分の一を下ることができない。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。

発行可能株式総数は、発行済株式総数の1/4を下回ることはできません。

言い換えれば、発行可能株式総数は、発行済株式総数を4倍した数字以下でないとダメです。


具体例

 発行可能株式総数 400万株  発行済株式総数 99万9999株 → OK

 発行可能株式総数 400万株  発行済株式総数 100万株 → OK

 発行可能株式総数 400万株  発行済株式総数 100万1株 → NG


これは、上場企業などの公開会社限定の話しです。

非公開会社はこのような制約はないので、発行済株式数1万株に対して、発行可能株式総数1000万株や1億株とすることが可能です。



5.司法書士試験の過去問に挑戦


平成31年27問目(会社法)

問い 正誤
発起設立の場合において,発起人が株式会社の成立の時までに公証人の認証を受けた定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けるには、発起人の過半数の同意を得れば足りる。
クリック

平成21年27問目(会社法)

問い 正誤
D社の定款について公証人の認証を受けた後,Bから金銭の出資に代えてBの所有する不動産を出資したい旨の要請があったときは,D社の発起人全員の同意をもって当該定款を変更し,Bの出資に係る財産を当該不動産に変更することができる。
クリック
D社が会社法上の公開会社でない場合には,公証人の認証を受けたD社の定款に発行可能株式総数の定めがないときであっても,D社の成立の時までに当該定款を変更して発行可能株式総数の定めを設ける必要はない。
クリック




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