会社法319条(株主総会の決議の省略)を解説します。




会社法319条は株主総会の決議の省略について規定している条文です。







1.会社法319条の条文

第319条(株主総会の決議の省略)
取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。
株式会社は、前項の規定により株主総会の決議があったものとみなされた日から十年間、同項の書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
前項の書面の閲覧又は謄写の請求
前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第二項の書面又は電磁的記録について前項各号に掲げる請求をすることができる。
第一項の規定により定時株主総会の目的である事項のすべてについての提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされた場合には、その時に当該定時株主総会が終結したものとみなす。



2.会社法319条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法319条1項

取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。

319条は、取締役・株主が提案した議案について、株主が全員書面・電磁的方法により同意した場合は、有効な決議とするみなし株主総会の決議に関する条文です。

実際に取締役・株主が集まって開催する株主総会とは別物です。

株主総会そのものを開催する必要がありません。



3.会社法319条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法319条2項

株式会社は、前項の規定により株主総会の決議があったものとみなされた日から十年間、同項の書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。

みなし株主総会についても、議事録の10年間の保存義務があります。

318条2項も合わせて確認してみてください。



4.会社法319条3項


続いて第3項を確認します。


▼会社法319条3項

株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
前項の書面の閲覧又は謄写の請求
前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

株主総会議事録は株主と会社債権者に閲覧権限があります。



5.会社法319条4項


続いて第4項を確認します。


▼会社法319条4項

株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第二項の書面又は電磁的記録について前項各号に掲げる請求をすることができる。

親会社社員については、「その権利を行使するため必要があるとき」であって、しかも裁判所の許可まで必要になっています。



6.会社法319条5項


続いて第5項を確認します。


▼会社法319条5項

第一項の規定により定時株主総会の目的である事項のすべてについての提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされた場合には、その時に当該定時株主総会が終結したものとみなす。

株主総会の決議省略は定時株主総会であっても可能です。




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