会社法141条(株式会社による買取りの通知)を解説します。




会社法141条は株式会社による買取りの通知について規定している条文です。





1.会社法141条の条文

第141条(株式会社による買取りの通知)
株式会社は、前条第一項各号に掲げる事項を決定したときは、譲渡等承認請求者に対し、これらの事項を通知しなければならない。
株式会社は、前項の規定による通知をしようとするときは、一株当たり純資産額(一株当たりの純資産額として法務省令で定める方法により算定される額をいう。以下同じ。)に前条第一項第二号の対象株式の数を乗じて得た額をその本店の所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を譲渡等承認請求者に交付しなければならない。
対象株式が株券発行会社の株式である場合には、前項の書面の交付を受けた譲渡等承認請求者は、当該交付を受けた日から一週間以内に、前条第一項第二号の対象株式に係る株券を当該株券発行会社の本店の所在地の供託所に供託しなければならない。この場合においては、当該譲渡等承認請求者は、当該株券発行会社に対し、遅滞なく、当該供託をした旨を通知しなければならない。
前項の譲渡等承認請求者が同項の期間内に同項の規定による供託をしなかったときは、株券発行会社は、前条第一項第二号の対象株式の売買契約を解除することができる。

2.会社法141条1項


まずは第1項を確認します。


▼会社法141条1項

株式会社は、前条第一項各号に掲げる事項を決定したときは、譲渡等承認請求者に対し、これらの事項を通知しなければならない。

1項は株式の譲渡承認請求に対し、会社がNGを出し、株式を買い取る場合の話しです。

買い取ることが決定したので、その旨を通知する必要があります。当たり前といえば当たり前の話しです。



3.会社法141条2項


続いて第2項を確認します。


▼会社法141条2項

株式会社は、前項の規定による通知をしようとするときは、一株当たり純資産額(一株当たりの純資産額として法務省令で定める方法により算定される額をいう。以下同じ。)に前条第一項第二号の対象株式の数を乗じて得た額をその本店の所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を譲渡等承認請求者に交付しなければならない。

1項の株式を買い取る通知をする際に、一定金額を供託所に供託し、その書面を譲渡等承認請求者に交付しなければなりません。

一定金額の求め方は、法務省令(会社法施行規則25条)も使用して算定するのですが、ここでは割愛します。



4.会社法141条3項


続いて第3項を確認します。


▼会社法141条3項

対象株式が株券発行会社の株式である場合には、前項の書面の交付を受けた譲渡等承認請求者は、当該交付を受けた日から一週間以内に、前条第一項第二号の対象株式に係る株券を当該株券発行会社の本店の所在地の供託所に供託しなければならない。この場合においては、当該譲渡等承認請求者は、当該株券発行会社に対し、遅滞なく、当該供託をした旨を通知しなければならない。

3項は株券発行会社の話しです。会社より、一定金額を供託した書面の交付を受けたら、株券を本店所在地の供託所に供託しなければなりません。

会社から書面の交付を受けてから1週間以内なので、結構日程的に厳しいですね。

また、株主が株券を供託したら、会社に対して通知をしないといけません。

会社からも供託した書面の交付があったのだから、株主もそれに答える必要がある、と整理すると覚えやすいのではないでしょうか。



5.会社法141条4項


続いて第4項を確認します。


▼会社法141条4項

前項の譲渡等承認請求者が同項の期間内に同項の規定による供託をしなかったときは、株券発行会社は、前条第一項第二号の対象株式の売買契約を解除することができる。

会社が、一定金額を供託したのに、株主が株券を供託しなかった場合の話しです。

会社側としては、供託までしたのに、期限を破られたのだから、株式の買い取りをキャンセルできるのは当然です。

ただし、株主側も株券を1週間以内に供託しなければならず、日程的にかなり厳しいです。

実際にお金が動いているので、期限を厳しくしている、と解すればいいのかと思います。




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